メダカの転覆病、逆立ち病は予防できる!発症原因と対策について

メダカ・金魚
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転覆病や逆立ち病には過食によるもの、消化不良によるもの、ウイルスによるものなど多くの原因があるため、治療が難しいものとされています。

詳しく解説している記事があるため、そちらを読んでみてください。

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さて本題の予防法ですが、結論から言うと繁殖が簡単な観賞魚であれば大きな予防効果が期待できます。

その理由は治療が難しいとされている転覆病のほとんどはウイルス性から来ているものであり、このウイルス性の感染は、これまでの研究によって、親から子にウイルスを受け継いで感染することが分かっているため、卵の消毒をすれば殺菌が出来るからです。

転覆病の原因とされているウイルスについて

ウイルス性の感染症にかかった場合、神経損傷を起こし、最終的に壊死するため、ウイルス性神経壊死症「以下VNN」と病名がつけられています。
研究でVNNにかかった観賞魚の病理検査を行い、VNNを発症した全ての魚の体内にベータノダウイルスと呼ばれるウイルスが見つかったため、この病気の発症の原因になっていることが判明しました。
VNN自体は主に海水産にみられるウイルスで、親から子にウイルスが受け継がれる場合「以下呼称:伝播」と海水や餌に混じって体内に取り込んでしまう2パターンの感染ルートが確認されています。
一部の淡水魚にも同じウイルスからの感染が見られているため、類縁種と思われますが、淡水魚で餌から取り込んだ感染ルートは報告がみつからなかったので、受け継いで感染することが主だと思われます。

実際に転覆病にかかったアロワナやらんちゅうの病理検査からもベータノダウイルスと同じ原子構造のウイルスが検出されたことが分かっています。

病理学的所見

体表や内臓諸器官にはまったく異常は認められないが,擦「浮袋のこと」の肥大が顕著にみられる。
病理組織学的所見としては、脳、脊髄、網膜組織における神経細胞の壊死と空胞形成が最大の特徴である。
中枢神経組織や網膜組織の神経細胞の細胞質におびただしい数の小型で球形(約 25nm)のウイルス粒子が結晶状に配列している像がみられる。

※引用:魚病研究51巻4号p. 158-162「ウイルス性神経壊死症の文献2016年12月発行書より一部引用」

症状と診断法

このウイルスに感染した魚は、くるくると回転 ・旋回しながら泳いだり,水槽の底に横たわる、ふらふらと泳ぎだす、腹を上にして水面を漂うなどの遊泳異常が見られます。
VNNを発病したことによる転覆症状は難治性であり、進行すると治すことが困難です。
症状が進むにつれて脳・脊髄・神経細胞が破壊されるからです。
なので、発病させない予防が最も重要になります。

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転覆病原因ウイルスの予防法

海水魚の場合は海水や餌を通じて発症することもあるため、予防は難しいですが、養殖場であれば採卵したものを消毒すれば発病率を大幅に下げられます。
ただ手間とコストが高くついて、採算が合わず利益につながらないため、多くの場合は防疫を取っています。
海水魚で観賞用に飼育している場合は、繁殖が容易なクマノミであれば感染予防は効果的です。
淡水魚であれば繁殖が簡単なメダカ、プラティ、モーリーなど転覆病になりやすい観賞魚は採卵して卵を消毒すれば大きな予防になり、将来の発病率を大幅に下げられます。
同じ淡水魚でもグッピーなど卵胎生で体内で卵をふ化させるタイプの観賞魚は、この方法が取れないので予防は難しくなります。

予防法の手順「メダカを例にして解説」

メチレンブルーを使用する方法が一般的です。

①水道水にメチレンブルーを規定量混ぜて、よくかき混ぜる
②その消毒水の中にメダカの卵を入れる
③1分ほど浸けたまま、時々卵が裂けない程度に軽くかき混ぜて、薬成分を卵に浸透させる
卵に直接触れない様にして混ぜると良いです
④1分経過後は水道水でゆすいで、通常通り孵化するまで管理すればOK

予防例は飼育者の多いメダカで紹介しましたが、産卵する淡水魚であれば全ての飼育魚に有効な方法なので、メダカに限らず金魚やベタ、熱帯魚などにも、ぜひ利用して難治性の転覆病発症を抑えて安心・安全なアクアリウムを楽しんでください(^^♪

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