エロモナス病「尾ぐされ、口腐れ、穴あきなど」の治療法と再発予防について

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飼育魚のヒレや口が溶けていく、ウロコが逆立つ、体表に穴が開いたりスレ傷が出来るなど、これら全てはエロモナス感染症という病気の症状です。
エロモナス感染症は大きく分けて運動性と非運動性に分けられますが、基本的には単独で発症することは少なく、感染症状がみられた場合は両方の複合感染を起こしています。

エロモナス感染症の主要症状と特徴

運動性エロモナスと非運動性エロモナスの2つに分けられます。

運動性エロモナス「セッソウ病、英名:プロテオバクテリア」
ヒレの赤み、体表に赤斑、松かさ「立鱗」症状などが主要症状

非運動性エロモナス
尾ぐされ、口腐れ、穴あきなどが主症状
新穴あきは非定型エロモナス「非典型的症状」

発育進行温度 6度~34度
※昇温療法は魚の体力を削り病原菌は元気になるので悪化を早める

上記に加えて体表にびらん、剥離、潰瘍、皮下出血、進行すると患部から水カビやビブリオ病など2次感染も引き起こす。
非運動性では病状が進行するとカラムナリス菌による尾ぐされ、ヒレぐされ症状も2次感染して出ます。「エロモナス症状よりも強力で進行が早い」

エロモナス菌は生涯体内で潜伏する常在菌である

エロモナス菌は常在菌であり、魚類の体内に生涯潜伏して眠っており、衰弱したり免疫力が極端に低下すると発病することが水産研究により判明しています。

※人間で言うところのヘルペスウイルス。
人でも疲労やストレスで免疫力が低下すると誰もが口内炎や帯状疱疹が出来ます。 完治しても体内に潜伏しているため、水質悪化やストレスのかかる混泳魚がいる様な環境が改善しないと再発します。

Kyo
Kyo

感染や再発予防するには、適切な水質環境とストレスのかからない飼育環境が最重要。

原因

上記でも少し触れましたが、主に水質悪化や水質の急変、環境ストレス「ケンカ、混泳、拒食など」が原因で発病します。

ここで言う水質悪化は飼育水の汚れだけでなく濾過槽の目詰まりや容量不足にメンテナンス不足なども含まれます。
これら飼育魚にストレスやダメージを与えることが続くとエロモナス感染症を起こしやすくなります。

感染力が強く、病気も進行していくため、治療開始が遅かったり、様子見では☆になります。
同じ水槽に混泳魚がいれば、病魚だけトリートメントタンクに隔離して、薬浴を行って治療しましょう。

塩水浴は松かさ、尾ぐされを悪化させるので要注意!

一般的に使われている塩による治療法はエロモナス菌、カラムナリス菌を活性化し元気にしてしまうので逆効果です!要注意!!
塩水浴を行うのであれば通常使用される0.5%塩水浴では無く、0.6~0.8%濃度の高濃度塩水浴で実施します。
元々塩水浴は浸透圧差を利用した治療法であり、淡水・海水魚共通で0.9%濃度まで適応できるため、0.8%濃度までであれば病原菌が浸透圧差に耐えられず不活化するため、魚に危険性はほぼありません。

Kyo
Kyo

ただし衰弱した病魚では塩類細胞の働きが弱っているので、0.6%くらいの濃度が安心かつ治療効果ありでオススメです。

フエ&ハッシー
フエ&ハッシー

僕ら海水魚なら淡水浴が同じような効果があるね。でも低比重に弱い魚類は危険だから気を付けてね。

基本の治療はフラン剤かサルファ剤

エロモナス菌はフラン剤やサルファ剤に弱く、カラムナリス菌「強い屋ぐされ症状」にはサルファ剤が効果的です。

両方の合併症の場合はフラン剤+サルファ剤による薬浴が効果的なので、kyo個人的にはGFG顆粒による薬浴が最もオススメです。

GFGはフラン剤+サルファ剤の混合魚病薬なので、どちらにも効果があります。
フラン剤のほうが含有量が多いので長期薬浴にも向いており、病魚へのダメージが少ないのがメリットです。
主に細菌類全般に効果を発揮する為、治療中の2次感染予防や傷口の感染予防にも役立ちます。
薬浴の効果を最大限に上げる方法は他の記事を参照ください。

常備すべき魚病薬、添加剤について「永久保存版」
観賞魚が病気になった時、病名や原因を特定することは困難を極めます。家庭アクアリウムでは血液検査や細胞検査はもちろん、顕微鏡での病理検査など病気の究明が不可能だからです。魚病で代表的な白点病1つとっても、白点病と思い治療していたらウーディウム...

病状が進行し、ひどく悪化している場合は薬浴しても病気の進行速度が勝って治療回復が間に合わないことがあるため、テトラサイクリン系の抗生物質やオキソリン酸の経口投与がオススメです。

魚用の抗生物質として水産OTC「主成分:テトラサイクリン」がよく効くのですが、2021年現在は一般購入出来ない水産業用品なので、獣医師に相談し動物病院で処方してもらってください。

使用法は獣医師さんに説明をうけてくださいね(^^♪

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管理者の失敗談

過去飼育していた海水魚で失敗してしまった実例を紹介します。

運動性エロモナス、非運動性エロモナス、細菌性エラ病、抗酸菌症の複合感染

主病変:目元~エラ全体の皮下出血、皮膚のびらん、エラ蓋の盛り上がり、痩せ

2次感染「複合感染」:ポップアイ、水カビが病変部位に発生

この子は数年前に色んな複合感染を起こし助けられなかったスミレヤッコの幼魚です。
感染経路は省略しますが、1週間私用で外出しており、この間に感染に気付けなかったことが悔やまれる症例でした。

発見した時すでに上記症状が出ており、即GFG+マイクロバブルによる溶存酸素供給をして治療していたのですが、抗酸菌症状が強まってきた為、グリーンFクリアー+水産用OTC「魚類用抗生物質」の治療法に切り替えた2日後、すでに治癒体力が残っておらず☆になってしまいました。
※水産用OTCは薬事法改定により一般購入不可「2021年現在」

抗酸菌症により治療が難しくなっていたのもありますが、今回☆にしたのは間違いなくエロモナス症+2次感染症による極度の衰弱だったと思います。

このように発見や治療開始が遅れると治療が難しくなるばかりか、2次感染による複合症状、治療選択が困難になっていくので、毎日飼育魚を観察し、異変や違和感が無いかチェックしてあげてください。

本来エロモナス病も早期治療開始すれば、問題なく治癒回復出来ていましたが、数日気付かなかったことが手遅れにつながってしまいました。
魚にはリンパ節が無いので一旦病気感染すると進行がとても早いです。
何事も早期発見、即治療が明暗を分けるため、日頃から常備薬を持っておき、異変があれば専門誌やネットで状態を調べ、即治療開始出来るようにして、大切な愛魚を落とさない様に頑張ってあげてください。

病名が分からない飼育魚の生存率を飛躍させる病気治療について「淡水・海水共通」
白点病や水カビ病などと違い、病名も治療法も分からない病気や症状は珍しくありません。これら病名不明な観賞魚の病気に試すべき治療法と応急処置について記載しています。

サイエンス・アクアリウムのサイト内でも、観賞魚の病気治療や持っておくべき常備薬の紹介など記事を書いているので、ぜひ参考になさってください(^^♪

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