観賞魚病気時の民間療法の効果と危険な副作用まとめ「塩水浴+10選」

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ひと昔前に比べ、メダカや金魚は高級志向のものが好まれる様になり、メダカやベタ人気により病気治療に民間療法を行う方もたくさん増えてきました。
しかし民間療法には治療効果のあるものもあれば、病気症状をより悪化・進行を早めてしまうものもありますので、ここで紹介したいと思います。

Kyo
Kyo

民間療法で治癒効果があるものでも後々副作用や後遺症が出るものがあるので、使用する時は記事を参考に理解を深め、利点・欠点を知ったうえで行う様に注意してください。

そしてあくまでも民間療法なので、実施の際は自己責任で行ってください。
実施後によるトラブルに関して、当方は一切責任を負わないものとします。

紹介している民間療法一覧:「」内は効果があると言われているもの

・デミリン「寄生虫駆除」
・正露丸「体内線虫駆除」
・乾燥南天「新穴あき病治療」
・エプソムソルト「転覆予防、便秘改善」
・ココア浴「便秘改善、排泄促進」
・テラマイシン軟膏「ビブリオ、肉腐れ箇所消毒」
・オキシドール「海水魚の白点病治療」
・イソジン「ウイルス殺菌」
・唐辛子「殺菌消毒」
・ラクトフェリン「体表粘膜強化、免疫力向上」
・塩水浴「あらゆる病気治療の定番」

それぞれ順に解説していきます。

治療効果のある民間療法

以下に紹介するものは治療効果があり、魚にも害や後遺症が起こらないとされているものです。順に紹介します。

デミリン

イカリムシやウオジラミなど甲殻寄生虫の駆除に使われています。
本来の用途はコバエやチョウバエの幼虫を駆除するための農薬ですが、観賞魚に使用してもほぼ害が無いことが多くのアクアリストから評価されていて、魚病薬に弱い魚や衰弱した魚など健康状態に左右されずに使用できるところが利点です。

駆除効果は絶大ですが、甲殻寄生虫の脱皮を阻害するものなので、魚病薬に比べて全て駆除しきるまでの時間がかかることと成虫にたいしてはダメージが無いことがデメリットです。
しかしイカリムシ、ウオジラミなどの増殖は確実に止められるため、数を増やさない、減らしたいに、たいへん有効な治療法です。

エプソムソルト浴「硫化マグネシウム」

浸透圧調整を楽にし、筋肉の緊張緩和とリラックス効果により体内に蓄積した余分な水分や排泄物を出すのに効果的な治療法です。

初期の松かさ病や転覆症状に効果があると言われてますが、実際のところは便秘や疲労、ストレスなどから症状として現れたものの回復であり、細菌感染やウイルス性などの病気症状には効果が無いと思われます。また塩の様な殺菌効果はありません。
主な治療効果としては、消化不良による便秘、疲労・ストレスからくる衰弱や浮腫に改善効果が持てる民間療法です。

使用方法
0.03%濃度でエプソムソルト浴を行う「10Lに対し0.3g」
※魚に悪影響が出るため、香料などが一切入っていない純度100%のエプソムソルトを使ってください。

乾燥南天の葉

新穴あき病の治癒率90%、副作用無し、短期間で完治と良いこと尽くしの民間療法として紹介されており、多くの愛鯉家から治ったという報告がある効果の高い治療法の様です。

月刊錦鯉「2002/5月号・11月号、2003/6月号」に掲載されていた鈴木さん開発の民間療法で、ホームページ「鯉のお医者さん」で治療方法や注意事項などを詳しく紹介されています。

鯉のお医者さん〜錦鯉の穴あき病の乾燥南天薬浴治療〜南天、乾燥南天浴、なんてん、ナンテン

乾燥南天浴は薬品では無く自然植物の葉や枝を混ぜて治療する方法なので、薬害が無く副作用も起こらないそうです。
ただ、用法・用量を守らないと治療効果が出ないばかりか症状悪化などに影響する為、上記ホームページから正しいトリートメント方法と注意事項をよく読み、遵守してお使いください。

入手方法

「市販で売られている物は治癒率がガクッと下がる、薬害が出やすいなど支障がある様です。効果を実感するには手間ですが自分で集めたり、自家用で育てるなど素性がはっきりしているものを使用すること、園芸や生け花販売している農家さんから譲ってもらっている愛好家さんも多い様です。」

※「」内一部引用元:鯉のお医者さんHP/乾燥南天薬浴Q&Aより

Kyo
Kyo

他にも松かさ病、水カビ病、緋食い、魚のスレや傷、従来の穴あき病、治療に塩を併用すれば白雲病やエラ病に治癒効果があるそうです。

テラマイシン軟膏塗布療法

オキシテトラサイクリンとポリミキシンBの2つの抗生物質を配合したグラム陽性菌と陰性菌に強い殺菌効果を示す塗布用軟膏。
人間ではニキビなどの殺菌治療に使われているが、魚ではビブリオ病や穴あき、肉ぐされなどのエロモナス菌に対し殺菌消毒として治癒効果があります。

使用方法:軟膏を綿棒やティッシュなどで損傷箇所、病変部位に直接塗布する

効果をより高めるなら、病魚の水分や滲み出ている出血をティッシュなどでふき取り、柔らかめの綿棒「水分を弾かないもの」で塗るようにする。

注意点

病魚は衰弱していることが殆どなので、塗布に時間をかけ過ぎないこと。
直接塗布となると病魚を水槽から取り出さなければならないので病魚が暴れやすく、上手く塗りにくいため、飼育者の工夫が必要。

Kyoはジップロックに1cm四方の穴を開けて飼育水ごと病魚を掬い、余分な水を水槽に戻し、病変部位に開けた穴の照準を合わせて、余計な水を戻す+チャックを閉めて、病魚が暴れても傷つかないしケガをしない様にして塗布しています。

網ですくうこと、小さい容器に入れて塗布しようとすることは暴れて傷を悪化させるし、健康な体表やヒレ、エラなどもスレ傷を作ってしまうので、上記の様な病魚の安全に配慮した方法を模索し実行することを推奨します。

扱いが難しいもの

オキシドール「過酸化水素」

海水魚の白点病治療などに有効として使われるオキシドール治療ですが、推奨値では治癒効果が薄く、用量過多では魚の臓器破壊をする猛毒に変わります。
短時間浴として水産場では使われることもありますが、取り扱いを熟知していないと飼育魚を危険にさらすため、藻類の除去や飼育器具の殺菌など以外で生体へは使用しないことをオススメします。

使用しない方が良い民間療法

イソジンやココア浴、唐辛子などがあります。

イソジン

カバ君のガラガラうがい薬でおなじみのイソジン。
ウイルス感染の殺菌・治療に良いとの口コミがありますが、魚類への使用は全般的に不可。 主要含有成分であるヨウ素剤が魚のあらゆる粘膜を激しく荒らすため、病気が治っても薬害で後々飼育魚を高確率で落とします。運よく生存したとしても重篤な後遺症が残ります。

使用するなら同じくウイルス感染に治療効果があるグリーンFクリアーや殺菌効果のあるアクアリウム用のアオダイン液「ヨウ素」使用をオススメします。

ただし、ヨウ素治療は使用量を厳格に守らないと魚にとって猛毒となりますので、ご注意ください。

ココア浴

消化不良や便秘の改善、転覆症状の治療などに使用していると聞くココア浴ですが、ココアに含まれるポリフェノール、リグニン、テオブロミンといった成分は魚のエラにダメージを与え、エラ病などすでにダメージを負っている場合は浸透圧調節機能を妨げ、一気に病状を増悪させます。
また水槽の環境破壊として、バクテリアを減らし、水質悪化も進めるため、Kyoは民間療法として使用することはありません。

鷹の爪「トウガラシ、カプサイシン」

殺菌作用があり、甲殻類へは無害なため魚病薬の代わりとして使用されている様ですが、香辛料であるため魚の粘膜を傷め、傷口がある場合は、より悪化させます。 殺菌効果というメリットに対し、デメリットの方が圧倒的に多く危険な為、使用すべきでは無いです。

正露丸「クレオソート剤」

アニサキスなど体内線虫の活動を抑える効果があるとして、大幸薬品が2014年に特許を取得した正露丸ですが、魚に対しては副作用は明らかになっていません。
使用したことのあるアクアリスト達の報告によると、飼育魚に神経障害や遊泳異常の後遺症を起こした事例があり、使用しない方が無難です。
寄生虫や線虫駆除には民間療法ではなく、魚病薬が有効です。

ヒラムシ、エラムシ、ハダムシなど寄生虫の駆除・治療法
海水魚に付着する寄生虫「ハダムシ、エラムシなど」の症状、駆除方法について記載しています。

基本海水魚のハダムシやエラムシ、線虫などの虫下しに使用されますが、金魚やメダカなど淡水魚にも使用できます。
詳しくは上記「ヒラムシ、エラムシ、ハダムシなど寄生虫の駆除」にて紹介しているため、ご参照ください。
※紹介している魚病薬はアニサキスにも駆除効果があるものです。

塩水浴について

淡水魚の民間療法では、おそらく一番使われている塩水浴ですが、エロモナスやカラムナリス「尾ぐされ」、イカリムシなど一部の感染症には効きません。
アクアリウム界で使われる塩水浴は一律0.5%濃度の塩水で治療するのですが、上記の感染症は耐塩性を持つため、0.5%濃度では逆に活性化し元気になるため病状の進行を早めてしまう為、絶対に行ってはいけません。
もし塩水浴を使うのであれば、0.6%濃度以上での短時間高塩水浴で行う必要があります。
ただ各病気に対する魚病薬を使って薬浴させる方が、はるかに治癒するため、個人的には魚病薬使用を推奨します。

ラクトフェリンについて

民間療法に入るかどうか分かりませんが、治癒効果があるものとして加えました。
ラクトフェリンは魚の重要な免疫機能である体表粘膜「インターフェロン」による感染バリアを強化し、寄生や病気にかかりにくくする栄養食品です。

魚の病気治療というよりは予防の役割の方が強く、病気になりにくい魚にするために効果的です。
ただ栄養に富んでいるため健全維持に役立つ反面、飼育水を汚すのを早めるため、通常時よりも水換えや濾過槽掃除の頻度は増えます。

最後に

この記事では民間療法について記載しましたが、病気治療に対応する魚病薬や常備すべき魚病薬についての記事や病名が分からない病気に対する治療手段の選び方、治療手順についての紹介記事なども当サイトで掲載しています。

当サイトTOPページのオススメ記事から読めるので、重病まで進行した病魚、難治性疾患を患った飼育魚などの治療にぜひお役立てください(^^♪

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