腹水病とは観賞魚の腹部が水風船のように膨らんでいく治療の難しい病気で、病状が進行した場合、助かる確率はほぼ0%という恐ろしいものです。
はじめに記載しておくと、この病気に対する治療法として塩水浴、グリーンFゴールド顆粒など一般的によく目にする治療法や毎日の水換えによる水質改善などが代表的に挙げられていますが、はっきり言ってこれらの方法では治すことは困難です。
治ったという報告については、多くの学者言わく、それは初期段階で病状が軽かった、腹水病に似たフン詰まりやエロモナス感染症状など別のものであった可能性が高いとのことで病状が進行した腹水病であれば、まず治らない様です。
なので腹水病は予防第一、発症した場合は早期発見・早期適切な治療がとても大事になります。
そこで、この記事では多くのアクアリストを悩ませている腹水病の早期判断基準と現状で最も効果が期待できるとされている治療法について記載しています。
ここで紹介する腹水病は治療内容を分かりやすくするために、一つの病気として紹介していますが、本来は病魚の合併症状として出現するものだと考えています。
治療法については後述していますが、これは合併症状の腹水にも有効であるため、どちらにも有効な方法として読み進めてください。
この記事は最新の情報に更新するため、2021年12月に最新のものに更新しています。更新に従い、記事の修正・追加を行っています。
更新により最新の見解と治療法の変更をしたので、今まで記事を読んでいただいている方も初めて読む方も知識のアップデートとして、ぜひ読んでみてください。
この記事は原因の考察~治療法まで細かく書いているので、かなりの長文になっています。
読み終えるのに10分以上はかかりますので、簡潔にまとめた結論だけ先に記載しておきます。
簡易まとめ「詳細を知りたい方は最後まで読むことをオススメします」
各項目の詳細は、もくじにあるので、知りたい情報だけクリックしても見れます。
腹水病の症状、早期治療開始の判断目安基準について
腹水病は発症させないことが第一ですが、発症してしまった場合は、とにかく早期発見・早期治療が大事です!
判断が遅れて病状が進行してから治療を開始しても、ほぼ助かりません。
早期発見・早期治療が生存できるかどうかに大きく関係します。
腹水病の兆候「初期~末期まで」治療法について
結論から書くと
順に書きます。
初期段階
まずほとんどの場合、食欲の減退が最初に症状として見られます。 餌食いが悪くなっただけでは腹水病という判断が特定できないのですが、もうここで塩水浴やエプソムソルト浴を開始しても構いません。
上記であれば魚病薬では無いため薬害は起こらないし、他の病気が隠れていても初期治療として事前に有効打を打てることがあります。ただの体調不良だったとしても浸透圧の調整が緩和され呼吸を楽にする、リラックス効果もあるので身体の負担をとり結果的に体調回復につなげられます。
フン詰まりや体調不良による腹水症状にも効果が見込めます。
もし飼育魚に、この症状が見られた場合は、ぜひ上記治療を開始しましょう。
塩水浴やエプソム浴治療は水質悪化を招くので必ず水換えをセットで行ってください。治療後も治った・治らなかったに関わらず、元の水質に戻るまで水換えを行ってください。
腹水病だったら治る可能性を飛躍的に高めるし、他の病気や症状でも治療効果が見込めるので、一石二鳥です。
もし飼育魚に、この症状が見られた場合は、ぜひ上記治療を開始しましょう。
中期~末期症状
初期の時点で治療を開始しなかった場合、病気が進行し次の進行段階として腹部の腫れがおこってきます。
群れから離れて泳いだり、底でじっとしていたり、水流のある付近や水面でパクパク苦しそうにするなどもみられることあります。
更に、呼吸回数が増え、白い筋状の糞便が出始めると末期症状です。
末期になると、上記症状と同時に水槽の底の部分でじっとして泳がなくなる、水槽上面でふらふらする、逆に狂ったように泳ぐなどが見られてきます。
こうした進行症状が一つでも見られた場合、早急に治療を行いましょう。
治療が少しでも遅れれば、飼育魚は多くの場合☆になります。
中期~末期では肝臓・腎臓・消化器、浮き袋など内部の広範囲なダメージを受けていることが顕著です。したがって、治療の早期開始は回復の成功率に大きく影響しています。
これら進行症状が出始めた場合、丈夫な観賞魚だと1週間以上生きながらえる事は珍しくないですが、末期症状が一つでも現れてから治療して回復したという話は、これまで私は聞いた事がありません。また、kyo自身、治療に成功したこともありません。
なので腹水病を治して愛着のある飼育魚を助けるためには、絶対に初期症状の間に即治療を行ってください!!
これが最も腹水病を治す最善の方法です。
しかし、この記事を見ているということは、すでに飼育魚の腹部が膨れてきたり、呼吸が荒くなってきたなど病状が進行して腹水病と判断して治療法を探していることと思いますので、その場合は記事内で紹介している治療法を参照してください。
遺伝性や抗酸菌症の様な治癒困難な難病の腹水症状でなければ、きっとお役に立てると思います。
腹水病の原因について
腹水症の原因については、アクアリスト愛好家や研究者の間で様々な仮説が立てられていて、愛好家仲間からも考察論を聞きますが特定するまでには至っておらず、原因不明というのが現状です。「2022年1月」
水質悪化、バクテリアによるもの、寄生虫によるものなど多くの仮説があります。
このように仮説が立てられている一方で、明らかになっている腹水症状の原因も2つあります。
その原因とは
1つ目:体内に潜む原生動物や線虫によるもの
2つ目:特定の病気の合併症状
順に解説します。
体内に潜む原生動物や線虫によるもの
末期の腹水症状の主原因と思うほど多い原因元です。
線虫とは蚊が媒介となるフィラリアや漁師さんではアニサキスが有名どころで、体内に寄生する虫のことを言います。
原生動物とは人間で言うところのミトコンドリア、植物で言うところの葉緑体、一般的によく聞くところのアメーバやミドリムシなどが原生動物の仲間になります。
これら原生動物は世界中ほぼ全ての魚の体内で確認されており、健康な魚の体内では悪さはせず、病気感染や他魚に追い回されたなどで衰弱した時に免疫システムが崩れ、原因虫たちが魚の体内を活発に移動し、結果として腹水症状を引き起こします。
つまり、元気な状態なら問題の無い微生物でも衰弱やストレスにより、病気への抵抗力がガクッと低下すると日和見感染のようなものを起こすということです。
日和見感染とは、通常は感染しない弱い病原菌・ウイルスでも免疫力が大きく低下してしまうと発病する病気の感染のこと。
特に原生動物は生まれてきた時から体内で生存し、大部分は腸内にいます。
魚が衰弱した時には、腸内から他の臓器へ移動しようする本能があるため、この大移動により魚の腸管や消化管など、あらゆる場所を塞ぎます。
これにより消化不良や排泄困難が引き起こされます。
腸内から排泄できなくなったガスや不要物は腸内でどんどん溜まっていき、お腹が膨れる腹水症状へと進行、これらは消化器官にもダメージを与え、体内の多臓器の損傷につながっていきます。
その結果、体内でガス交換が出来なくなり酸素を少しでも取り込むために呼吸数が増加し、臓器が損傷することにより細かいフンや白いフン便に変わっていきます。
各臓器が損傷し、腸内にたまったものが腐敗すると体液の循環や浸透圧調整を阻害し、生命を保つことができなくなり、最後には息絶えることになります。
長ったらしいので、箇条書きにすると
といった具合です。
特定の病気の合併症状
レンサ球菌症、抗酸菌症「マイコバクテリウム」、イクチオホヌス、敗血症、先天性疾患の難病類などの合併症状でも腹水症状は出ます。
腹水症状に似て非なるものに耐性エロモナス菌による腹部膨張や盛り上がり「よくアロワナエイズと呼ばれるもの」なんてのもあります。
これら魚病の合併症状で出ているのであれば主原因は病気の方なので、根本である病気を治癒しさせなければ腹水は治りません。
各病気に関してはネット検索をかければ見つかるはずなので、尾ぐされやポップアイ以外で複合症状がある場合、調べてみてください。
腹水病が治りにくい、難しい理由
研究により判明していることに原生動物「原虫」や線虫類は魚病薬による薬浴や塩治療による殺菌などがほぼ効かないということが分かっています。 細菌やウイルス、寄生虫と異なり、体内の細胞や臓器の管などに寄生すること、宿主の免疫を巧みに回避するためです。
これらに加え体内全身に潜む時点で魚病薬成分自体が行き渡らないため、そもそもの効果自体が薄いです。
人間の研究でも明らかになっていることで、原虫による伝染病としてマイコプラズマやマラリア感染などがありますが、原虫が人の細胞に直接寄生するためにワクチンやステロイドなどの薬に治療効果が無いことが分かっています。
上記のことから他の病気と違って治療効果がある薬が無いこと、進行を止める手段が無いことから治すことが難しいのだと思われます。
※そのため、体内に直接薬を飲ませたり、餌に魚病薬を染みこませて食べさせるのも、ほぼ無意味。
しかし、全く治療手段が無いわけではありません。
名ある学者が報告した腹水病に最も有効な治療法と科学を交えた治療法を、最後に後述しています。
他魚に感染するかどうか
私の飼育経験上、腹水病は単独に起こる病気ではありませんでした。
混泳水槽で金魚でもメダカでも、熱帯魚においては魚種やグループを問わず短い日数で次々と腹水病に感染していた為、もし同じ水槽で2匹以上混泳させている場合は、必ず病魚だけ隔離することを強くオススメします。
腹水病を起こしやすいベタや金魚で予防や治療法の記事をよく見かけますが、他魚に感染するといった内容を見かけないのは、ベタのオスは原則単独飼育であること、メダカは過抱卵病や細菌感染症、金魚は転覆病と間違えやすいことから腹水病が伝染病かどうか症例報告が少ないのだと思います。
腹水病を発病させないための予防法・日頃の管理
さきほど多種多様のストレスにより腹水病が引き起こされる原因となることを書きましたが、このストレスを感じさせない飼育環境を維持することが腹水病をおこさない秘訣です。
ストレスの全てを記載すると読めないほどの量になるので、ここではストレスを感じる原因で最もよくみられる現象で、一番に対策が必要な水質について中心に記載します。
腹水病の引き金になるストレスで最もよく見られるのは、長期間劣悪な水質で飼育する事が挙げられます。
上記3つ全てに共通して言えることは、硝酸塩濃度の上昇です。
水質悪化に強いとされる魚でも長期間に渡って硝酸塩濃度の高い飼育水にさらされるとストレスを与え、臓器機能不全や損傷を加えてしまいます。
臓器機能に不具合が起こると消化や排泄が出来なくなる、浸透圧調整が出来なくなり、体内の免疫システムを最適レベルに保持できなくなることで腹水化してきます。
なので、水量や魚の飼育数、濾過器のスペックにもよりますが水換えは相応の回数・水量を換えて小まめに硝酸塩濃度を減らす、エアレーションをかける、餌は飼育魚に適した量を与えるなど、しっかりと水質を維持する日常管理が必要です。
硝酸化細菌とは、全ての魚に有害なアンモニアを亜硝酸塩→硝酸塩に酸化させることをエネルギー源として浄化させる細菌の総称です。
水槽内に硝酸化細菌が不足すると爆発的に硝酸塩濃度が上がりますので注意。
これら3つの問題を解決することは手間と時間がかかります。
kyo個人としてはエアレーションを起こすためのエアーポンプの作動音がうるさくて嫌いなので、エアレーションはしていません。
代わりにtotoパーフェクトフィルターとファインバブルを愛用しています。
totoパーフェクトフィルターは、これら3つの問題を全て解決できる独自の特許濾過システムを採用していて、通常の濾過フィルターではアンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩の酸化までしか分解が不可能だったものを嫌気性バクテリアの働きにより硝酸塩→窒素まで還元。 最終的に出来た窒素は空気中に放出されるため、水中に有害物質がほぼ溜まらないという驚きのシステムを持った商品です。
※西日本用は60Hzになります。購入の際はお気を付けください。
空気中の成分は水蒸気を除けば8割近くは窒素であるため、人にも動物にも無害なので安心だし、ろ材の交換も5秒程度で出来るので手間いらずなのでオススメです。
エサの与えすぎ、不適切な餌による腹水病
多くの魚類は胃を持たないので満腹感というものが存在せず、エサの適量を決めないと必要以上に食べ過ぎてしまう傾向にあります。 餌を与え過ぎると食べ残しや排泄物が多くなり水質悪化が早まります。
そして食べ過ぎは消化不良を引き起こしやすくなります。
なので、まずは飼育魚の種類、サイズに合った適切な量を知ることが大事になります。
次に不適切なエサですが、不適切とは魚の食性や消化器官の構造に合っていないエサ、酸化し古くなった餌などのことです。
※特に体調不良や病魚に元気をつけさせようと高栄養価の餌を与えることや古くなり酸化した餌を与えることは腸内で消化できず腐敗させ腸壁に炎症を起こさせる直接の原因になります。
炎症からも臓器機能不全や損傷を起こすので魚は衰弱し、原虫も活性化させ、消化機能不全と原虫による消化管詰まりのダブルパンチで排泄が出来ず、体内の腐敗物やガスだまり、浸透圧不全から腹水を引き起こしてしまいます。
なので、これらのことにも注意が必要です。
エサのパッケージに表記さえている賞味期限は開封前のものです。いくら期限に余裕があっても、開封してから何か月経っているかを目安にして、古くなっている物はもったいなくても破棄する様にしてください。
おまけ:水質以外のストレスの原因
水質以外のストレスの原因として
特に魚を網で捕まえることはストレスを感じるだけでなく、ヒレやウロコが網目に引っかかって傷ついたり、移動中に魚が抵抗しようと飛び跳ねて床に落下させて大怪我を起こす危険性があるといったデメリットが多いです。
なので、飼育魚をすくう時はプラケースor飼育水をためられる網で安全かつストレスを与えない様にすることが大事です。
腹水病の治療について
さてお待たせしました!
長くなりましたが、ようやく本題ですw
魚の食欲が落ちた場合、速やかに治療トリートメントを行うことを冒頭で話しましたが、塩水浴などの単独治療では正直効果が薄いです。 なので腹水病に治療効果がある2つの治療手段を紹介します。
1つ目:メトロニダゾール治療法(別名:エムトリル or フラジール)
メトロニダゾールは腹水病の初期症状の場合に治癒回復が見込める治療法になります。
末期症状には治療効果は期待できないと思ってください。
事前準備
トリートメントを開始する前に飼育水の水量30%分の水換えを行い、その後エアレーションをかけて、ろ材や濾過フィルターを水槽から外します。
活性炭が入っている、底砂をたくさん敷いている場合も全て取り除いてください。
活性炭により効き目が薄くなる、底砂に繁殖したバクテリアが大量死し水質を急激に悪化させる恐れがあります。
もし、専門の薬浴用水槽「トリートメントタンク」が用意できるなら、この30%の水換えは不要です。飼育水槽ではなくトリートメントタンクで治療開始してください。
※取扱説明書に『本薬品は硝酸化バクテリアに被害を与えることがありません』と記載があっても、ろ過器具一式は避難させておいた方が無難です。
代わりにエアレーションが溶存酸素量を保ちます。
使用方法
①水量38リットルごとに100mg(大体、スプーンすりきり一杯程度)を投入します。
小さい水槽なら、1Lにつき2.5mg計算で投与してください。
注意点として投与する際は水槽に直接入れるのではなく、コップや小型プラケースなどに飼育水を汲んで、そこに薬品を溶かし切り薬品水の状態にしてから水槽内に少しずつ投与するようにしてください。
②この容量を必要に応じて、2日繰り返します。
まだ餌食いが悪くなっただけで他の進行兆候が見られていない初期段階の場合は、1週間以内で回復することが多いです。
餌食いが回復し元気になった場合でも再発防止の為に1週間はそのまま様子を見てあげてください。その後の継続治療の判断は飼育魚の食欲があるか無いかで見分けます。
③薬品投与と同時にエプソム塩(天然の硫酸マグネシウム)と食塩の混合物を投入するとより効果が見込め、治癒の相乗効果が上がります。
エプソムソルトと食塩を1:1の割合で混合し、40リットルの飼育水に一掴みほど投入します。
エプソムソルトとは天然の下剤であり、腹水状態に陥った魚に対し、余分に吸収された水分を排出させる働きがあります。
リンゴや海藻が人間のお通じを良くするのと同じようなものと思ってください。
エプソムソルトは非常に安価で、ネットで簡単に手に入る他にも薬局で手軽に購入することができるので入手は容易です。
メトロニダゾール治療「フラジール」の絶対守るべき注意点
この薬は蛋白結合率が低く、組織にとどまり排泄しにくい薬剤のため3日を超えての長期的薬浴することは危険ですので、絶対に避けなければなりません!
また副作用として末梢神経障害、中枢神経障害等が現れることがあるとの報告もあるため、効果のある治療法ですが、多用するものでは無いと思っています。
またメトロニダゾールは主に嫌気性細菌を叩く薬剤なので、好気性細菌「エロモナス菌など」には効果がありませんので、ご注意ください。
2つ目:プラジクアンテルの経口投与
個人で行う治療法としては、まだ治癒する可能性があります。 寄生虫駆除に高い効果を発揮する水産用品であるプラジクアンテルはハダムシやエラムシ駆除で有名ですが、線虫や原虫の虫下しにも高い効果を発揮する様です。
肝心の薬害についても、「複数の臨床試験で摂取した薬効成分の80~90%以上が24時間以内に排泄された」との報告から、他の魚病薬より薬害は低く、安全性は高いと判断できます。
「」内文章:厚生労働省HP資料2-4より一部引用
水産業界では養殖魚の寄生虫や虫下しによく使われている魚病薬で、特徴や与え方、再使用までの休薬期間など使用方法について別記事に載せているので、そちらを参考にしてください。
抗酸菌症など難治疾患には効きませんので、主原因が原虫や線虫など体内寄生虫によるものであった時にお使いください。
3つ目:最終手段「低温療法」で臓器機能の回復に努める
末期の腹水病になると病魚はたいへん弱っており、自分で泳ぐことも出来ず水底でじっとしている、エラだけ動かし生命維持に全エネルギーを使っているなどの場合は薬浴も経口投与も出来なくなります。浸透圧調整も自身で出来なくなっている為、水換えによる水質変化にも耐えられないことが多いです。
なので、このような場合の最終手段としては、水温を低く設定し新陳代謝を鈍らせ、臓器回復と生命維持だけにエネルギーを集中させるしかありません。
この時の低温とは10度以下まで下げることを言うので、メダカや金魚、コイなどで使える限定的な方法になります。
熱帯魚やベタなど温帯に棲む魚は18度前後にして様子見してください。
低温にするメリットは上記だけでなく、ほとんどの病原体が活動できない水温になることも利点になります。弱ったところに追い打ちをかけるような2次感染や複合感染を防げるため、回復だけに専念させることが出来ます。
さらに水温が下がると溶存酸素量が増える、水質悪化しにくくなることもメリットです。
しかし全ての病原菌が不活化するわけではないため、飼育水がほんのり色づく程度にメチレンブルーやGFG顆粒などの魚病薬をよく溶かし切ってから投与しておいてください。
低温療法を行うということは、生存できる確率が非常に低くなっているということ。
治癒する可能性より時間稼ぎの意味合いが強いです。
この状態で1~2週間経過観察し耐えられるようなら初めて回復の希望がもてますので、泳げる様になる「転覆泳ぎやふらふらは×」など元気を取り戻してきたと感じたら、少しずつ水温を戻していき、餌を食べられるようなら、まずは一口だけ、次の日に2口与えてみるなど、徐々に徐々に本来の生活に戻してあげましょう。
補足・追記「2022年1月時点」
・メトロニダゾール治療の注意点を追記しました。
以前載せていたCLOUT「クロウト」治療法は優秀な魚病薬なのですが、日本では薬事法の関係から入手困難であるため、記事を修正し、プラジクアンテル治療を追記しました。
・以前の記事では水温上昇も併用すると新陳代謝が上がり免疫力向上すると書いていましたが、それは健康な魚の話であり、最近の研論では病魚に対しては、むしろ逆効果になることが多いという見解が多かったため、修正しました。
これらに加え、投薬水槽では観賞ライトを消しておくのがオススメ。
水槽内を暗くすることで飼育魚をリラックスさせ、免疫力向上・治癒回復促進につながります。
以上、長文で記事を書きましたが、なにより重要なのは予防すること、病気の早期発見・早期治療です!
重症化した場合は完治させることが困難になるため、日々の健康チェックをかかさず、活き活きと飼育してあげてくださいね(^^♪
最後まで、ご覧いただきありがとうございました<m(_ _)m>