アクアリウム界では薬事法が厳しく水産場で使われている様な治療効果の高いものが少なく、水産獣医師や防疫士でも治癒困難な病気が数ある中で、魚病薬メーカー、飼育書や専門ショップの殆どが的確に病気治癒できていないと言われるのは無理も無い話です。
広大な大自然と違い、限られた閉鎖水域である水槽では、飼育者がまめに管理していないとすぐに病気を発症してしまいます。白点病や水カビなどマニュアル通りの治療で容易に解決するものなら良いですが、全ての病気がそうはいかないため、この記事では飼育魚は病気にかかりにくく丈夫にする、水槽内は病原体が活動しにくい環境を作るをテーマにKyoが愛用している3種の神器について紹介しています。
私は3つとも飼育に使用しており、ラクトフェリン、クロマジェルはエサに混ぜて食べさせ、フコイダンは濾過槽掃除後の送水時に使用しています。「利点は後述」
ラクトフェリンについて
人でも免疫力向上食品として人気のラクトフェリンはアクアリウム用も販売されています。
ラクトフェリン自体は母乳に含まれる鉄結合性糖たんぱく質というもので、人でも定期的に摂取するとウイルスや細菌からの感染を防ぐ働きがあります。
特に魚類では人間と免疫システムそのものが違う為、感染予防という観点がとても重要になります。
魚類の免疫システムは人間とは全く異なる
魚類では人間と違ってリンパ節がないため、病気感染してしまうと自然治癒が困難で病気の進行もとても早く進みます。
その反面、体表のウロコと皮膚粘液に含まれるインターフェロンという体表粘膜が病原体の侵入を強固に防ぎ、病気にかかりにくくするという独自の免疫防御システムです。
よって体表粘膜というバリアを突破して侵入してきた病原体には、好中球単体でしか病気の進行を防ぐことが出来ないため、あのような凄まじい進行速度で病気が悪化していくのです。
そのため、病気治療以上に予防に力を入れるべきであり、その病気予防に効果が高いのがラクトフェリンです。
ラクトフェリンは魚類の体表粘膜層を厚くし、自然下でたくましく育つ魚と同じ免疫防御システムに近づけます。
※詳しくは商品販売ページの説明をご覧ください。
また高栄養価に富むため、体内での内部感染による腫瘤や一部欠損、ケガや溶けにも治癒効果があることを確認しています。
注意点とデメリット
栄養価に富むために飼育水の汚れを早めやすく、水換えや濾過槽掃除のサイクルを短くすることが難点です。
また病気予防としては優秀ですが、病気になり進行悪化が進んでいく病魚に対しての治療効果は乏しく、治療薬としての期待は無いに等しいです。
病気の進行悪化速度の方が回復速度をはるかに上回ることが多い為、食い止められないことが大半であり、高栄養だからと拒食や衰弱で弱りきった魚の栄養補給の場合も使わない方が良いです。
消化不良を起こしたり、餌の消化にエネルギーを消費し衰弱を早める危険性により最悪☆になります。
人間でも体調不要でずっとご飯を食べれていないところに高カロリーのものを食べたら消化器官に炎症を起こすから、魚でも似たことが起こります。
拒食が続いた魚に関してはクロレラやクロマジェルなどの商品で、ビタミンやアミノ酸などミネラル源を補給させると良いです。
ラクトフェリンに過度な期待を寄せることにも注意!あくまで健康食品であり治療薬では無いため、全ての病気を治すものでは無いです。
クロマジェルについて
「クロマジェルとは今まで相反していた水質浄化と栄養補給が一つになった画期的な商品で高密度クロマ菌(光合成細菌)が水質を浄化すると同時に含まれているアミノ酸、コエンザイムQ10、カロチノイド、バクテリアクロロフィルなどの優れた栄養分を魚に与えることが出来ます。」
※「」文章:日海センターHP説明文より引用
↑画像クリックで商品ページへ
↑その水質浄化作用は水槽に添加することで、水槽内の底床や濾過槽内の汚れやヘドロを分解し吸着、そして凝固するため、目詰まりを起こしにくく、掃除の際も汚れが散らばりにくくなるというメリットが使用者の口コミで多く聞かれています。
特に海水魚飼育ではデトリタスを減らし、ライブロックや厚い底砂に沈殿してたまっていた汚れが少なくなり、海水魚が驚いて砂を撒き散らした際も白点病などが出にくくなった報告も多々聞かれています。
他にも苔が出にくくなった、水の透明度が上がった、濾過槽からの循環水量が増えたなど良い報告がたくさん聞かれています。
クロマジェルの栄養成分・メリット
栄養価はクロレラと同じくらいあり、アミノ酸などミネラル補給やビタミン摂取が出来、直接ジェルを食べさせても栄養補給になります。 Kyo自身も衰弱した魚や痩せてきた魚にはクロマジェルのみを各魚の口に入るサイズに砕いて与えています。
他にもカロチノイド、バクテリオクロロフィルといった海藻に含まれる成分で光合成を行う為に必須の色素が皮膚、粘膜などの細胞の正常化と代謝を活性化させケガの治りを早め、整腸作用や成長促進、生命維持に効果が期待できます。
クロマジェルのデメリット
含有成分は記載がありますが、どれぐらい含まれているか、色素成分の種類の名目が無いため、効果の判定と分析が明確に出来ないところがあります。
アミノ酸やカロチノイドを例に解説すると、含有成分は必須アミノ酸なのかどうか、カロチノイドはβカロテンかリコピンか、その他のものかなど種類の詳細が分からないため、魚類の健康や成長に働く機序を明確に出来ないという感じです。
必須アミノ酸は9種類、体内で生産できないため、含有成分が必須アミノ酸であればエネルギー補給効果が高いです。
カロチノイドは数種類あって、単体では効果が薄い為、複合しているかどうかは個人的に知りたいところです。
メリットとデメリットを書きましたが、総合的に見ると水質浄化効果や栄養補給など口コミで出ている様な恩恵はあると思います。
使用しないのと使用するのでは明らかに水質汚れのスピードが違うと感じるので、水質悪化に悩んでいる方は私も使うことをオススメします。
フコイダンについて
フコイダンは海藻に含まれる多糖類の一種で、微細な網目構造の粘着力により水中の細菌、ウイルスを押さえ込んで病原体を不活化させる商品です。
感染能力を失くさせることで自然と消滅するので、水槽内に薬害が無く、全ての生体に無害なのが利点です。
水槽内に浮遊しているタンパク質、汚れ等を吸着し飼育水の透明度を上げる効果もあります。
詳細は商品販売ページの説明文をご覧ください。
フコイダンは人が摂取する健康食品としてもよく聞く成分で、アカモクやモズクなどに多く含まれ発癌性の低下、免疫力向上に効果があるとされています。
現時点で有力な研究報告は見かけませんが、魚にも同じような効果があるかもしれません。
そうであれば不治の病となる観賞魚の癌や細胞変化による病の減少に期待が持てるため、確証は無いですが、使用しないよりは定期的に添加する方が良いかもしれません。
フコイダンは海藻由来の成分なので、淡水なら水草や貝、海水ならライブロックやサンゴ、イソギンチャク、甲殻類等が入っている水槽でも問題なく使えます。
しかし手前2商品と同じであくまで医薬品では無いため、これ1本で病気を治せるわけでは無いので、ご注意ください。
観賞魚の健康維持と病気予防目的として使うことをオススメします。
海外でも販売開始
これら3商品は、2021年から海外でも販売開始されています
おおまかな特徴については記事で紹介していますが、使い方や価格などは販売ページでご確認ください。
もし売り切れで買えない場合は、販売元である「日海センター」さんでお買い求めください。
おまけ:冒頭のコメントの詳細について
後述すると言った内容についてですが、ラクトフェリンは栄養価に富んで水を汚しやすいのでクロマジェルと混ぜて、その中にエサを入れて混ぜエサとして与えています。
Kyo個人のオリジナル比率としては2~3種類のエサ+ラクトフェリン少量+クロマジェルで与え、病魚や衰弱魚にはエサ1:クロマジェル9ぐらいの割合で混ぜて与えています。
フコイダンの使い方は主に濾過槽掃除の後やトリートメント終了後の新規魚を本水槽に迎え入れる時に添加しています。
飼育+治療経験上、上記2つが最も感染の起きやすくなる要因だからです。
濾過槽の中はマットやろ材だけでなく通水パイプやホース、濾過槽壁などあらゆるところに病原体が付着して潜んでおり、掃除後に通電させ水を通すと100%水槽内に病原体が流れ出てきます。ゴミヘドロは網ですくえますが、目に見えない病原体は取れないため、それらを吸着、減少させる意味合いでフコイダンを使っています。
ただどれぐらいの効果があるのかは数値化できないので、濾過槽掃除後は数日間水量の1/5~1/6程度の水換えを行い、飼育魚を毎日念入りに健康チェックを欠かさず行う様にしています。
当サイトでは、魚病薬の効果を最大限に活かす方法や病魚を薬浴中に☆にしないための注意点、各病気の専門的治療法や予防など飼育や病気治療に役立つ情報を多数紹介しているため、飼育に不安のある方や正しく病気を治したい方はぜひご覧ください(^^♪