白点病よりも小さく細かい点々が体全体に付く病気です。
白点病は白く丸い点なのに対し、コショウ病は粉末や粒子のように小さい粉が体中に付いていて、体全体の中でも背ヒレや頭部、背中側など体表上面部に特に見られます。眼球やエラにも小さい粉を吹き付けたような点々が付くことがあります。
原因
ウーディニウムと呼ばれる寄生虫に寄生されることで感染します。
寄生したその姿がまるでコショウをふりかけたような見た目なのでコショウ病とも呼ばれています。
ウーディニウム病とコショウ病は呼び名が違うだけで同じ感染症です。
主に水質悪化や水温変化による免疫力低下、新規魚の追加、過密飼育などで起こることが多く、他にも混泳トラブルによるケガやストレスでも魚の体表粘膜が弱り寄生されやすくなります。
またコケがたくさん生えて掃除をした時や久しぶりに濾過槽の掃除をした後などにも病原菌が水槽内に広がり感染しやすいです。
新規魚は必ずトリートメントしてから入水、定期的に水換え・ろ材管理、コケは少量生えたら掃除など徹底すれば感染率をグッと抑えられます。
ウーディニウム「コショウ病」の症状
初期
・飼育魚が体全体を身震いさせる
・水草や流木、レイアウト物に体をこすり付ける仕草がみられる
中期
・体全体に粉を吹き付けたような無数の点々が付く
・食欲不振、活発に泳がなくなる、急に加速するように泳ぐときがある
末期「重症」
・餌を食べない、エラ呼吸が頻回orエラ蓋がほぼ開かない
・底に横たわるor水面に浮上する、力なく泳ぐ
上記症状は代表的な例ですが、この他にもエラ内部に寄生されエラ病を併発する、ヒレが溶けるなど色んな症状が出ることがあります。
底に横たわる、エラ病を併発する等の末期症状では治療中の生存率がかなり低くなります。状態別の治療法については下記治療法の項目で解説します。
白点病とコショウ病を見分ける方法、判別のコツ
非常によく似ているので区別が付きづらいですが白点病は普通に見つけられるもの、コショウ病はよく飼育魚を観察しなければ見つけにくいものとして判別してください。
白点病
コショウ病「ウーディニウム病」
上記は海水魚ですが、見た目の症状は同じです。
白点病はカメラにも写るぐらいのはっきりした白い粒、ウーディニウムは白い微小の粉で至近距離で見ないと分からないほどの大きさです。ウーディニウムの写真では尾ひれにコショウをまぶした様な極小の白い点々がついています。
明らかに大きさと付着する量が違うので、その2つで容易に見分けられます。
なお海水魚の白点病は淡水魚に寄生するものとは種類が別物で、ウーディニウムはもっと進行が早く淡水魚のものよりも治療技術が求められます。
当サイトに記事を書いているので、ご参考ください。
治療薬・治療法
白点病と混同しやすい為、メチレンブルー系+昇温にて治療するケースが非常に多いですが、ウーディニウムの場合は逆に悪化させるので白点病とは別の治療法を取ります。 ウーディニウムの治療は魚病薬を使用しますが昇温は飼育魚の体力を削るだけなので水温は通常通りで変化はさせません。
魚病薬としてはグリーンFゴールド顆粒が使いやすく魚への負担も少なめなのでオススメです。
薬効期間は3~5日程度「飼育環境により変動」で、その後はただの着色された水なので、治療効果はありません。
完治していない場合やウーディニウムが体表にみられなくなって2日以内であれば、また再発する可能性が高いので再度4日前後薬浴させることをオススメします。
主成分がマラカイトグリーン液のものも治療効果があるので載せておきます。
商品名としてはアグテン、ヒコサンZが有名ですが、どちらも同じものなので、好きな方を選んで使用しましょう。
ただしマラカイトグリーン液は薬効期間が2日程度と短いので、治療期間中に2~3度再投与する必要があります。
どちらも治癒効果が高い薬品ですが、底に横たわる、エラ病併発など重症の場合は薬品投与は危険ですので、ご注意ください。
※魚病薬は飼育水の汚れや濾過槽の目詰まり具合で治療効果が天と地ほど変わります。
ほとんどの魚病薬の説明書に「使用前は水換えをしてから使用すること」と書いてあるのは、このためで、飼育環境が汚れていると治療効果がほぼ得られません。
魚病薬の治療効果を最大限に高める方法はサイト内の記事に書いているので、治療の際は合わせて読んで、お役立てください。
魚病薬の種類によっては、用法・用量を守っても薬害で☆にする人も非常に多いです。
それは溶かしきれてなかったり、溶存酸素不足だったり、意外な落とし穴があるので、それらも詳しく解説しています。
ウーディニウム重症魚の治療について
底に横たわる、じっとして体だけ身震いする、エラ呼吸が頻回orわずかしか開かないなど重症化している場合は呼吸や浸透圧の調節が弱っているので薬浴投与すると致命傷を与え最悪☆にしてしまいます。このようなケースの薬浴は規定量の1/5、投与後1~2時間様子見して状態急変しなければ、さらに1/5投与して様子見が良いと思います。
上記重症症状では、少しのさじ加減で生存を左右してしまうので、慎重に投与を行ってください。
状態急変した場合は、すぐに添加剤を入れて中和する、エアレーションを強めて溶存酸素を増やすなど応急処置を行ってください。
添加剤はアクアセイフは粘膜保護成分が傷んだエラをコーティングし呼吸困難を強めるので、病魚の場合はパーフェクトウォーターがオススメ。
溶かし残しはダメージの元なので、しっかりかき混ぜて完全に溶かし込んでください。
エアレーションは気泡や水流が病魚に当たると体力を削るので、離れた場所に置くor当たる心配の無いものを使います。
tottoバブルはオススメですが、容器底部分が空いているため、メダカやテトラなど小型魚は巻き込まれる危険性があります。
小型魚に使う場合はネットをつけるなど巻き込まれない対策をしてください。
飼育水が古い場合は水換えはしないでください。水質変化は病魚には致命傷なので、今のままの飼育水で治療を行います。
濾過槽の掃除もしばらくしていない場合は、濾過マットだけ交換する、ろ材を飼育水で洗うなど目詰まり解消は、しておいた方が良いよね。
治療時の注意点
治療にあたって注意するべきことがいくつかあります。
大小ありますが、知っておくべき重要なことだけ抜粋して記載しておきます。
昇温は行わない!
記事中にも何度か触れていますが治療中に水温は上げません。
淡水の白点病なら28度以上の水温で活動停止することが分かっているので効果がありますが、ウーディニウムの場合は逆に活性化させるだけであり、病魚はますます衰弱します。
それよりも体力を温存して魚病薬で治癒させる方が生存率が高いので、昇温の併用については私はあまりオススメしていません。
魚病薬は完全に溶かし切ってから水槽に投入すること
水槽内に直接魚病薬を入れることは絶対にしてはいけません。
必ず別容器で投与する量を完全に溶かし切ってから、少しずつ病魚の観察をしながら投与します。
個人的にオススメなのは、よくすすぎ洗いしたペットボトルに飼育水と魚病薬を入れてシェイク「振る」する方法。溶け込む速度が早く、溶け残しも出にくい為、便利です。
ペットボトルシェイク法を使う場合の注意点は炭酸飲料が入っていたものは使用しないこと。炭酸ガスがボトル内に残っていることが多く、注いだ水のPHを変動させてしまうので水やお茶など心配の無いペットボトルを使ってください。
エアレーションをする
魚病薬の中には薬効成分が溶存酸素を大量に消費するものがあります。
呼吸や浸透圧調整が弱り酸素欠乏を起こしやすくなっている病魚では、この溶存酸素の不足は大打撃で致命傷を与えるので、治療中必ずエアレーションはかけておくのが重要です。
治療開始その日や翌日に☆にしてしまう方の大半は、この酸素欠乏による呼吸困難であるため、必ずエアレーションはかけておきましょう。
小型水槽内でのエアレーションは気泡や水流が病魚に当たることがあります。体力を削るので、直接当たらない様にしてください。
再発予防について
白点病やウーディニウムなど寄生虫関連の病気は完治すると免疫が付くので、しばらくは再感染しにくくなります。
しかし水槽内に病原菌や寄生虫が蔓延している場合は、いずれ再発するので、コショウ症状がみられなくなって3日以上経過したらウールマットを交換、薬浴後の飼育水を毎日1/5ずつ水換えしましょう。
毎日の水換えは4~5日継続すれば、その後は通常通りの定期的な水換えでOKです。 そしていつも通り落ち着いたら濾過槽掃除を再度しておくと良いです。
濾過槽掃除方法
濾過槽内やパイプ内側にはウーディニウムの生き残りや残骸、雑菌が大量に付いているので、ろ材を避難させておいて槽内やパイプ内部に至るまで、くまなくヌメリが無くなるまで掃除しましょう。
以上、コショウ病「ウーディニウム」治療法を書きましたが、末期で泳ぐことすらできない場合は、この治療法でも助からないことが多いです。
病状が進行し重症化し、特にエラに集中した場合は困難を極めるので、そうならないように日々飼育魚を観察し、餌食いが悪い、体色が悪いなど何か違和感があれば、原因や症状を調べて早急に対処してあげてください。
魚類の病気は病名が付いているものだけでも数百を超えるため、飼育書やネット情報だけでは治療法が分からないものもたくさんあります。
当サイトでは他にも色んな記事を書いているので、病名が分かっている場合はそちらを参照、「病名が分からない飼育魚の治療法」は別記事を参考に読んでみてください。
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