治療困難な病魚に行う最後の切り札「低水温療法」について

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観賞魚病気の末期、複合感染、エサも食べられなくなり、薬浴も効果なし…そんな回復の望みが薄くなって見守るだけしか出来なくなった不安なアクアリストに贈る治療の最終手段「低水温療法」の紹介をしています。

Kyo
Kyo

転覆症や重度の腹水症にも治癒効果が期待できる方法です。治療の手順は最後に後述しています。

低水温療法とは

水温を10度以下に設定し、魚類の新陳代謝を鈍くし機能低下させることで体表粘膜防御「インターフェロン」、好中球など本来の免疫とは異なる生体防御機能で徐々に回復させるのを目的とする治療法です。

10度以下の冷水温下では殆どの病原体が活動を停止するため、病気の進行も食い止められます。
ただこの方法は冷水では生存できない熱帯魚には使えないので、飼育している病魚が熱帯魚である場合は、その魚種の生存できる最低水温を調べて実施してください。
金魚、メダカ、鯉などの冬越できる魚は急激に水温を下げなければ、10度以下での長期療法は十分可能です。

低水温療法の効果とメリット

低水温療法には様々な利点があります。

・多くの寄生虫や病原体は1桁の低水温下では活動を停止するため、複合感染や2次感染、病気進行も食い止められる。

・新陳代謝を鈍らせるので消費エネルギーは減り呼吸回数も少なくなるため、臓器や魚体への負担を楽にできる。

・水温が下がるほど溶存酸素量が増えるため、エラ呼吸が楽になる。

・魚体から薬害が徐々に抜けていき崩れた腸内フローラのバランスが自然と整ってくるので回復力の向上、治癒力の促進に繋がり何とか復活させられる確率が高くなる。

ただでさえ重症の病魚は病気への抵抗力が低く、生きるのに精いっぱいの状態なので、病気の進行を食い止め、他の病気の複合感染を予防し、酸素を豊富にすることは治癒回復において大きなメリットになります。

Kyo
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機能回復と体力温存に重点をおいた治療法です。重症度によっては冷水温に強い魚でも耐えられないことがあるので、水温を下げる時は1度ずつ下げていって異常が無いか適宜様子観察してください。

低水温療法のデメリット

低水温療法の最大のデメリットは全ての魚に使えないことです。
熱帯魚、特にアロワナなど高水温下で飼育されるのが一般的な魚は低水温で療養することができず、アロワナで言えば育成できるギリギリの水温も23度前後が限度になるため、この治療法の恩恵が得られにくいです。

他にも低水温の維持が難しいことがデメリットとして挙げられます。
一般的なサーモスタットは最低設定温度が15度になっている為、1桁に設定し水温維持することができません。
なので低水温療法を行う時は水槽用クーラーが必須になります。

アロワナなど高価な魚や入荷の少ないレア魚、飼育歴の長い愛着のついた愛魚ならば、お金がかかっても、どうしても助けたいというのが人情。
そんな時はぜひクーラーを稼働させて、元気になる様に治療・療養してあげてください。

※コンパクトなファンクーラーなどがありますが、必ず水温を10度以下に設定できるかどうかで購入を判断してください。10度以上にしかならないものは低水温療法には使えませんので注意してください。

一般的に知られる薬浴+水温上昇の併用は病状の悪化を助長しやすい

もはや当たり前とされている薬浴or塩水浴+水温上昇の治療セットですが、これが効くのは白点病くらいです。
コショウ病や尾ぐされ病などの病気は治るどころか進行を早め悪化させるだけなので実施しない様にしてください。

Kyo
Kyo

水温上昇が病気予防になるのは、ただのフン詰まりなどの不調時や健康魚だけです。健康時と病気衰弱時の水温上昇は効果が全く違うと思っていてください。

まず水温上昇させることで多くの病原菌やウイルスが活性化し、飼育水の溶存酸素は水温が高くなるほど減少します。
病魚をそんな環境下におけば新陳代謝が活発化し持病の悪化を早め、免疫力がさらに低下したところに水中の様々な病原体が侵入し複合感染し放題になってしまいます。

確かに代謝が上がるので治癒回復力は高まりますが、病気の進行スピードの方がはるかに勝るので回復が全く追い付かず悪化を辿って☆になる方が多いです。

それならば、低水温にする方が病気の悪化を食い止められるし、酸素は豊富にあるし、冬眠状態で活動しなくなるので体内循環や呼吸など生命維持エネルギー以外の余計な体力を使わず、時間をかけて機能回復を待つ方が助かる確率が良くなると思います。
※実際同じ重症度なら、低水温の方が助かる割合が多いです。

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低水温療法の実施方法

今ある水槽の水温が20度以上あるならば、急激に水温を下げない様に30分に-1度のペースで水温を下げていきます。
この時注意することは、どれだけ丈夫な魚でも1日の下げる水温の合計限度は-5度までとすることです。
熱帯魚や飼育の難易度が高いとされている魚種ならば-3度/日までにとどめてください。
上記を数日繰り返し、目標の水温まで下げたなら、その水温を常に維持します。
病魚に出ている病気の症状を治すために、その病気の治療効果がある魚病薬をうっすら色づく程度でいいので、少量入れて低水温+小薬浴状態にして治療してあげてください。

長期薬浴にはGFG顆粒がオススメです。
病名が分からない、たくさん複合症状が出ている場合は寄生虫~ウイルスまで治癒効果のあるグリーンFクリアーをお使いください。

この治療で5日ほど耐えるならば生存回復の希望が見えてきます。
外見で明らかに病気の進行が止まった、治ってきたなどが見られたら、回復の期待が持てます。そのまま様子見しましょう。

これで10日以上生存していれば、病気や臓器不全はある程度回復していると思われるので、あとは栄養摂取との勝負になります。
エサは1粒、1欠片から与え、少しずつ少しずつ量を増やして徐々に元の食事量に戻していってあげましょう。
ちなみにエサを与える時は消化機能不全を防ぐため、水温を15度以上に戻してから与えましょう。

Kyo
Kyo

エサは欲しがったとしても絶対に与え過ぎない様にしてください。弱った消化器官に多くの食物が入ると消化不全を起こし☆になります。上記の様に1口、1粒を原則とし、少しずつ少しずつ元の食べていた量まで戻していってください。

水温を戻すときの注意点!

エロモナス、ツリガネムシなどの細菌や寄生虫は10度以下ではシスト「冬眠状態」になり、活動を停止しますが、シストのまま生き続けているので、病原体がいる水槽で水温を戻していくと冬眠から目覚めて、再感染を引き起こします!

なので、重症魚が元気に回復しても、決してその水槽内の温度を15度以上に上昇させないでください。 元気になった飼育魚を別の容器に移し、低水温療法を実施した水槽、使用した器具全てを念入りに掃除し病原体を排除してから、水温を戻す様にしましょう。

最後に

低水温療法は正しい手順で行えば、治癒困難な病気や機能損傷をも治せる確率が高まる治療法です。
どうしても治したい、元気になってほしい飼育魚がいるならば、この記事を参考に低水温治療を試してみてください(^^

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