淡水・海水の観賞魚飼育でよく用いられる専門用語、病気の症状名、略語などについて意味と及ぼす影響について詳しく紹介しています。
飼育用語や病気治療で知らない言葉が出てきた時にお役立てください。
アクアリウム・水産専門用語、略語について
pH DO BOD SSについて解説しています。
pH「水素イオン濃度指数」 hydrogen exjponentの略
一般的にペーハー、ピーエイチと呼ばれる水中の水素イオン濃度「H」を測る尺度で、数値により水が酸性か中性かアルカリ性かを示す指標になります。
pH7.0を中性とし、これより小さくなれば酸性寄りに、大きくなればアルカリ性寄りになります。
水中生物が棲む淡水では多くがpH6.0弱~8.5「国内外含む」の範囲内であり、この範囲から外れると水の生き物に被害を与えることがあります。
海水でのpHの平均値は自然海でpH8.1前後「場所により多少変動有」
海中でも深さによって違いがあり海面あたりではpH8.1、水深が深くなるほど徐々に下がっていき、水深1000m付近ではpH7.4前後まで低下します。
影響
pHが酸性「6.0以下」になると、ろ過装置など水中機器の腐食、水の汚濁が生じ、酸により魚体の肌荒れやヒレ溶け、ウロコにダメージを与えます。長期間続けば臓器損傷や病気も引き起こします。
一方、アルカリ性「8.5以上」が高くても塩素消毒力の低下により細菌や真菌など病原菌が増殖しやすくなるため水質が悪化し、観賞魚が病気感染しやすくなります。
観賞魚飼育のpHでは上昇よりも下降によるトラブルが多い「薬浴によるpH急上昇を除く」ので、飼育水を古くしない様に定期的に水換えを行い、pH低下に気を付けると良いです。
また普段定期的に水換えしていても週に1度は水質チェック「特にpH」を必ず行うことをオススメします。
海水魚飼育では立ち上げてから3か月くらい経つと濾過が安定してくるので緩衝作用により淡水よりもpH低下は起こりにくくはなりますが、淡水魚よりも海水魚飼育が簡単かも!なんて油断するとある日急激に水質バランスが崩壊し全滅なんてことも十分ありうるので、淡水魚飼育と同じく週に1度は水質チェックを行いましょう。
pH低下予防の対策としてはアラゴナイト「あられ石」が良いです。
炭酸カルシウムには結晶形の種類がいくつかありますが、同じ炭酸カルシウムでも化学的性質として、あられ石がpH低下によって早く溶解しやすく、pH維持に働きやすいので、アラゴナイトと表記のあるサンゴ砂を敷いたり、ろ材にすると効果を得られます。
一般的に淡水魚よりも海水魚の方がpH変動の影響を受けやすいので、定期的に行うべき管理を怠らないことが重要です。
溶存酸素量「通称DO:Dissolved Oxygenの略」
水中に溶け込んでいる酸素量のこと。 水中で生きる全ての魚貝類「無脊椎生物含む」は例外を除いて溶存酸素で呼吸を行っています。また微生物「バクテリア含む」の飼育水浄化や有機物の分解などの濾過、硫化物、鉄、亜硫酸イオンなどの還元によっても消費されます。
空気中の酸素は水中に送り込まない限り溶け込みません。
水草や海藻など水生植物の光合成でも生成されるが、夜間は動物と同じ呼吸になるため、溶存酸素を増やすにはエアレーションをかける、水面に水流を作る、空気中の酸素を水流と一緒に水中に落とし込むなどが必要です。
水産用水基準ではDO値:6mg/L以上とされていて、清流などキレイな川などの水では10mg/L以上含まれています。「温度により変動有、30度など高水温下ではこれ以下となる」
不足することによる影響
水中生物が生きるために必要な酸素なので不足すると酸素欠乏により呼吸困難となります。
また水中の汚濁物質も分解されないため蓄積し、水が腐る、腐敗臭、硫化水素ガスなどが発生します。
BOD「生物化学的酸素要求量」
水の中に含まれる有機物は、好気性微生物「バクテリアなど」の作用を受けて徐々に酸化、分解、いわゆる濾過されますが、この過程で微生物が消費する酸素量のことをいいます。
バクテリアが汚れの原因を分解するためには溶存酸素をエネルギー源とするため、BODが高いほど、溶存酸素は消費・欠乏しやすいことを意味します。
不足することによる影響
有機物の量に対して溶存酸素量が足りないとバクテリアは汚れを分解・浄化による濾過が行えないため、水中生物全体が☆になったり、有毒ガスが発生し、水槽の飼育水が悪臭を放つようになります。
SS「懸濁物質または浮遊物質」 suspended solidの略「単位:mg/L」
水に溶けない水中に浮遊する固形物質のことで水の濁りの原因となります。
濾過にかかりにくいことが多く、濾過器を回していても除去できないことがあります。
影響
SSが多くなると、水質悪化の原因になります。
また魚類ではエラに付着して窒息させたり、水草や海藻、サンゴでは光の透過率が悪くなって、光合成による成長を妨げ、上手く育たなくなります。
また、水槽底に沈着し溜まったものが腐敗し、汚泥床が出来たり、悪臭を放つこともあります。沈着した腐敗物が有機物であった場合は溶存酸素を消費するため、飼育魚が酸欠になりやすくなる等の悪影響が出ます。
以上、まずはアクアリウムの水産専門用語、略語について記載しましたが、BODにしてもSSにしても溶存酸素の不足が原因で悪影響を招くため、溶存酸素が豊富に保てる飼育環境を作ることが最も大切なことになります。
気泡の細かいエアレーションを複数かけるのでもいいのですが、海水では殆どが空気中に出て行ってしまい溶存酸素として水に溶ける量がとても少ないので、個人的にはファインバブルを使うのがオススメです。
ウルトラファインバブルの正規登録商品なので、ファインバブルよりも数段溶存酸素が多いです。
病気の症状、状態、免疫システム用語について「医学用語含む」
わかりやすくするため体外の症状と体内の症状に分けて記載しています。
体外症状「見た目で分かる症状」
潰瘍「かいよう」
真皮が無くなる、剥がれること、皮膚は消失し筋肉などが丸見えな状態
結節
皮膚や骨に盛り上がりが出来ること
魚種によるが小豆ほどのふくらみが体表に出来ること
乾癬「かんせん」:皮膚の肥厚、赤く炎症することなど
紅斑「こうはん」:毛細血管の充血によって出来る円形~楕円形の赤い皮膚症状
膿疱「のうほう」:皮膚に出来た水泡「水膨れ」が膿んで、たまったもの
肉芽「にくが」:傷や炎症により失った欠落組織が修復していく時に出来る新生組織
見た目としては赤くて柔らかい粒状の結合組織
伝え方として正しいかどうか分からないがカサブタのようなもの
※肉芽腫とは違う点に注意!
肉芽腫とは、ざっくり言うと体内から長い間除去されない異物があるために炎症を起こし、免疫細胞が細胞の中に閉じ込めて体を守ろうとする防御反応により出来たふくらみのことです。場所により悪影響の強さが変わり、毛細血管やリンパ、気道、肺、腎など全身に起こることがあります。
瘢痕「はんこん」:傷や潰瘍などで失った部分が治癒した後。治癒修復された傷跡
びらん
皮膚の表皮が無くなる・表面が剥がれること、真皮が見える状態
発赤「ほっせき」:皮膚表面の赤み、炎症症状
体内で起こる症状
イレウス:腸閉塞のこと
うっ血:血流障害により静脈内に血がたまった状態 うっ血が長時間続くと血が流れず体液が循環しないため、浮腫や内出血、局所~広範囲な皮膚・筋肉・臓器などの壊死「腐って機能しなくなること」につながる。
浸出液「しんしゅつえき」:組織や細胞からしみ出た液体
溶血「ようけつ」:赤血球が破壊されること
その他
インターフェロン
菌・ウイルスなどの感染を受けたときに細胞内「白血球、リンパ球など」で作られるタンパク質のこと。「魚類の場合は体表粘膜と好中球による免疫防御反応」 免疫抗体のように特定の病原体にのみ反応するものとは異なり、全ての病原体の侵入・増殖を抑制しようとする作用であり、体表に付着する寄生虫や体内に侵入しようとする病原体を拒み、感染防御と免疫活性化に作用。
魚類を触った時に感じるヌメリは、この免疫防御の働きによるものです。
自然界の魚に比べ飼育魚のヌメリが少ないのは、天然ものより飼育魚の方が病気にかかりやすいことを意味しています。
うなぎのヌメリはムチンと呼ばれるたんぱく質で、上記を含め皮膚呼吸をするため、浸透圧調整を補助するためなど特有の理由があります。
※抗体:一度かかった病気に対して免疫が出来ること
ウイルスキャリアー:病気が治っても病原体を持続的に体内に保持している状態
保持していながら症状が出ていないこと
発病して症状が出ていないだけで病原体は体内に潜伏している状態です。
すでに体内で抱え込んでいるため、体調不良やストレス、水質悪化などが原因で簡単に発症します。
シスト:病原体や寄生虫が休眠に入っている状態のこと
被嚢・嚢子・包嚢などと呼ばれることもある
眠って活動を停止しているだけで生き続けているので、水温上昇や水流など刺激が入ると活発に活動し始めます。
以上、よく出てくる有名なものを載せましたが、他にも専門用語はたくさんあります。
患部の画像などは載せていないため、他の専門用語や症状の見た目を確認したい方はネットで調べるか魚病学の本があるので、そちらを参考にしてみてください。
魚を飼育していればメダカであろうとクマノミであろうと生涯飼育していれば必ず体調不良や訳の分からない病気・症状が出たりしてくるものです。
ここで紹介した以外にも観賞魚の具体的な病気治療やマニアックな内容まで当サイトで紹介しているので、困ったことがあったら、そちらを参考にしてみてください。
世界中のアクアリストの手助けになれば幸いです(^^♪