ツノダシは、映画「ファインディング・ニモ」で歯科医院の水槽で飼育されている「ギル」という役で登場した魚で、黄色と黒の縦波模様のコントラストが非常に美しい海水魚です。
ツノダシは一見チョウチョウウオの仲間に見えますが、ニザダイ亜目の魚とされます。
飼育難易度:大
ツノダシの性格:自分より大きな相手には大人しく神経質
自分より一回り以上小さな相手には強気
全長:最終成魚サイズで20cm前後
最低飼育サイズ:90cm×45×45水槽
単独飼育なら60cm×45×45でも可
ただし、ヒレが長く縦に伸びる魚なので横幅よりも縦幅の高さが必要。
値段:幼魚サイズなら1000円~2000円程度
若魚サイズなら3000円前後~
沖縄産など国産のツノダシはサイズにもよるが外国産より少し高くなり5000円前後する場合もある。
通販ショップ:良心的なショップさんなら8cm前後の幼魚サイズで300円、10cmサイズで1000円なんてところがあります。
一例として、シガテラ海水魚ショップさん「沖縄店、通販購入可」
ツノダシ7~9cmサイズ:280円
10~12cmサイズ:980円
各個体の元気も良く、しかも沖縄産のハンドコート「直採集」の健康体です。
ツノダシの各飼育ガイド
餌:雑食性で慣らせば基本何でも食べる
植物性人工飼料を日々与えてあげると状態良くなります
人口餌:メガバイトレッド・グリーン、ひかり藻類、フレーク類など
活餌・冷凍餌:イサザアミ、ブラインシュリンプなど
ツノダシの餌について
ショップで餌付いている個体以外は、最初に人口餌を食べてくれることは少ないので、その場合は冷凍餌から餌付けをスタートさせます。
よく人口餌に慣らせる為に数日間餌を与えなかったり、人口餌に食いつくまで待つなんてことも紹介されている記事をみますが、まずやめた方がいいです。
なぜなら、手元に到着した時点で、すでに何日も餌を口にしていないことが多いからです。
特に外国産のものや店に入荷して間もないものは長期間の輸送による水温や水質の変化、水を汚さないため海外の発送元から餌切り「餌を与えていない状態」されているので、購入した時点から1週間近く餌を食べていないことが多いので、水槽導入翌日からは、とりあえず餌を補食させ、餓死や体力低下により死亡することを防ぐことが最重要です!
たとえ通販などでなく、ショップで直接購入した子や国産のもの、ショップで餌食いを確認した場合でも、住んでいる環境が変わると、ストレスで餌を食べなくなることが多いです。
よく熱帯魚などの魚類は新陳代謝が低い為1週間以上餌を食べなくても平気とか言われてますが、1週間以上も餌を口にしないと多くの個体は簡単に体調を崩し、遊泳できないほど弱ったり、免疫力低下により病気発生、寄生虫に体液をむしばまれます。
食べる体力も落ちていき、やがて死に至るので、水槽導入翌日から人口餌を食べない場合は、冷凍餌や生き餌を与え、健康を保ち、自室の水槽環境に十分落ち着いてから、ゆっくりと人口餌に慣れさせていくべきです。
冷凍餌・生き餌を与える場合
冷凍餌
十分に解凍したものでないと食べた後体内を冷やし臓器に負担をかけたり、体力・免疫力を奪うことになります。
生き餌
食いつきが良いですが、生き餌のストック飼育は困難なので、食べる分だけ購入したり、日々追加購入が必要になるので、経済面でも管理面でも手間がかかります。
冷凍餌の場合は、単体では栄養に偏りが出来るので、2~3種類をバランスよく与えたり、市販の海水魚用の栄養添加剤をかけて与えると良いと思います。
人口餌に餌付いた場合
ツノダシはメガバイトレッド・グリーン、フレーク状のものなど何でも食べますが、1種類だけを与えず数種類を複合して与えます。
1種類だと人口餌を毎日お腹いっぱい食べていても必ず痩せてきてしまいます。
自然界では甲殻類や小さな貝、プランクトン、藻類など様々な物から栄養を摂取しているので、人口餌でも総合食タイプから植物性メインタイプ、クリルを口に入るサイズに砕いたものなど少なくとも3種類以上はミックスして与えてあげてください。
出来れば週に1回は冷凍餌も与えてあげると状態を維持しやすいです。
ツノダシは順調に餌を食べていても急に餌食いが悪くなったり、飽きたりすることが多い為、与え方のコツとしては、
1番最初:食いつきの良いものを少し与える
2番目:食いつきの悪いものを与える
3番目:冷凍餌を与える
4番目:食いつきの良いものを与える
という風に与えるとバランスよく栄養も取れるし、餌も変化がついて飽きにくくできます。
なお、餌の酸化を防ぐために各容器のフタやチャックはしっかり閉めてくださいね。
ツノダシの混泳について
混泳:気の強い魚には突かれる「スズメダイの仲間や大型の魚など」
120cm水槽以上であれば、ペア飼育や複数飼育も可能だがオススメは出来ない。
縦に長いヒレをもつので、物おじしない魚や興味本位に突く特性がある魚などには突かれやすいです。なのでスズメダイ類や突く性質のある魚とは混泳に向きません。
混泳相手として相性が最も悪いものは、チョウチョウウオです。
種族は異なるのですが、見た目や色合いが似ているため、多くのチョウチョウウオから攻撃対象にされてしまうことがあります。
仲良く暮らしていてもチョウチョウウオの俊敏さと図太さに怯えてしまい体調を崩すことも多いので、オススメできない相手となります。
次に大型ヤッコ類とも相性が良くないことが多く、基本性質が大人しいタテジマキンチャクダイでさえツノダシは怯えます。
混泳成功のポイント
- 自分と同程度の大きさや自分より大きい魚には委縮し体調不良や拒食につながり、小さい魚は追いかけまわしたり、威嚇したりするわがままさんなので、混泳するなら、本種が一番強くなり縄張りを主張できる水槽「本種がボスになる環境」に仕上げなければなりません。
- 混泳相手と問題なく、平和に暮らしていても、当の本人「ツノダシ」はストレスを感じることも多い為、出来れば120cm、150cm水槽と余裕をもって泳げるスペースを確保してあげる必要があります。
サンゴ、イソギンチャクとの飼育
サンゴ類との同時飼育も基本可能ですが、体調不良や病気にかかりやすい為、ライブロックやサンゴ類、クリーナーシュリンプやイソギンチャクなど無脊椎生物と同じ水槽で飼わずに魚だけの水槽環境で飼育するのが無難です。
ツノダシの水質について
環境に慣れれば、ある程度の汚水にも耐えますが、急激な水の汚染や水質変化「アルカリ性から酸性に傾く」、PHの増減、水温の変化などでは大ダメージにつながる為、定期的に水質のチェックや水温は一定に保つ「1度でも上がったり下がったりを繰り返す不安定な水温環境もダメ!」必要があります。
飼育者が過敏になりすぎるのも良くなく、水換えを頻繁にしたり、ろ材類を洗うなどフィルター内をいじったりも出来るだけ避けた方が良いです。
水槽サイズや生体飼育数に合ったフィルターであれば、週に1回の1/4~1/5位の水替えで砂利やレイアウトを動かさないで沈んでいるフンやごみを取るくらいでもいいくらいです。
ツノダシの病気について
海水魚の中でもトップクラスに病気にかかりやすく、病気にかかるのが趣味かと思うレベルです。
白点病からトリコディナ、リムフォスティス、ウーディウムなどオールマイティにかかります。
体表の保護粘膜も弱いのか、ハダムシなどの寄生虫にも付かれやすく、肌荒れもよく起こします。
ですので、飼育したら、いずれは、ほぼ100%薬浴治療が必要になる子です。
ベテランの方々にはサンゴやイソギンなど無脊椎と一緒に飼育し、きれいで映える水槽を作る人もいますが、基本的にオススメできず、魚だけの飼育「出来れば本種だけか、一回り以上小さく温和な魚との混泳」で飼育すべき魚です。
最後に
ツノダシは優雅で見た目もキレイな海水魚ですが、飼育自体が難しく、飼育歴の長いベテランでも長期飼育できないことも多いので、もし飼育するなら、この記事の飼育ガイドや他たくさんの情報を仕入れて、飼育知識を万全にした状態で挑むようにしてあげてくださいね。
難しい海水魚飼育で大事なのは徹底した豊富な情報収集といつでも早急に対策が打てる水槽にすること、準備を整えて一緒にアクアライフを楽しみましょう(^^♪