ベタの繁殖はオスが巣を作り稚魚の世話をする、ペアが体を重ね合い産卵するといった他の魚類には、あまり見られない珍しい習性があるので、その繁殖行動を自宅で見るということは、とても貴重なことであり神秘的な光景で感動するものです。
ベタの繁殖自体も難しいものではなく、手順と方法さえ知っていれば簡単なものなので、お家で手軽に繁殖を楽しむことが出来ます。
ただいきなり同じ水槽に入れるとオスに激しく威嚇や攻撃をされるので、基本お見合いからスタートさせます。 お見合いをさせる、同じ水槽に入れるのは基本1ペアで行います。
匹数が増えると攻撃されたり、繁殖に集中出来ず上手くいかなかったりするので、確実に繁殖させるために♂1匹と♀1匹だけで泳がすようにしてください。
各ヒレが長く伸びて派手なのが♂
ヒレが短いのが♀です。
繁殖前の事前準備
・♂、♀ともに餌をしっかりと食べさせ、繁殖が出来るまでの体力と栄養をつけさせる
・ペアをお見合いさせる水槽の水温を25度以上に上げる。「繁殖最適温度は28度」
・水質を繁殖しやすい環境に整えるなど
手軽に高栄養をつけるのにラクトフェリン、繁殖促進、最適な水質を作るのにテトラバイタルがオススメです。
普段与えているエサに少量混ぜるだけで便秘予防、病気予防になり、繁殖に必要な栄養と体力を補ってくれます。
ヨウ素がベタの健康促進と交尾の準備、産卵の成功を助けてくれます。
お見合い方法
ボトル、ケース、水槽越しにお見合いさせたり
同じ水槽内でセパレーターを挟んで、対面越しにお見合いをさせるのもOKです。
「出来ればセパレーター越しのお見合いの方が、その後の移行がスムーズでオススメ」
サテライトなど、仕切り板が付いている産卵ケースなどがお見合いさせやすく管理も楽なのでオススメです。
繁殖可能時期、一緒に泳がせても良い時期の見極め方
お見合いし、お互いが意識するとオスは水面に泡巣を作り出し、メスはお腹に縞模様「婚姻線」が出てきたら発情のサインです。
縞模様は全てのベタが出るわけではなく、出ない子もいるので繁殖の見極めサインとしてはメスの腹部がふっくらと膨らんで、お腹に産卵管が見えるようになったら準備OKと考えて良いと思います。
そのままお見合いを継続しているうちにオスは泡巣を大きく作っていくので、2匹分が入れそうなくらいの大きさ「大体でOK」になったら、2匹を一緒に泳がせてみてOKです。
求愛行動
オスはメスに寄り添う、追いかけるなどして求愛し、メスを泡巣に誘い込みます。
しつように追い回したり、ヒレを突く、体をつつくことでヒレが裂けたり、メスが嫌がることもありますが、ペアの繁殖に必要な過程ですので、様子を見ながら見守ってあげてください。
たいていは上手くペアリングするのに数時間~数日かかることもあります。
ペアリングした場合はメスがオスの作った泡巣の下まで泳いでいき、オスを受け入れるようになります。
しかし、次のような行動が見られた場合は、ただちにペアリング混泳を中止してください
上記パターンのどれか一つに当てはまった場合、そのままの繁殖は難しいので、一度中止してください。
中止したの後、再度1~2週間かけて餌をしっかり食べさせる→栄養と体力回復→お見合いさせてみて、また繁殖行動がみられたなら再度挑戦してみてください。
ペアリング成立した場合
上手くペア成立した場合はメスにオスが巻き付くように重なって交尾し、メスが卵を産み落とします。産み落とされた卵はオスのベタが口にくわえて泡巣に入れます。
ベタの産卵は基本一度で終わらず、数回~10回以上にわたって繰り返し産卵します。
1回で産む個数は10~20個前後で、総個数は100~200個近くも産卵します。
複数回にわたって産卵する為、完全に産卵が終わってからメスを隔離するためにも1回目の産卵後から半日は、そのまま様子を見て、全て卵を産み終わるまで待つようにしてあげてください。
オスがメスに巻き付けない場合
メスがオスを受け入れても、オスがメスに巻き付かないor巻き付けないといった問題が発生することがあります。
メスの方が体が大きい場合、オスが成熟しきっていない場合に見られることがありますが、全く問題がない健康なペアでも巻き付けない問題は起こることがあります。
詳しい原因は不明ですが、こうなると繁殖は不可能なので、ペアリングを中止してください。
巻き付かないままメスが産卵しても、その卵は無精卵なので、どんなに世話をしても稚魚が生まれることはありません。
一度隔離し、時間を空けて再度同じペアで挑戦するか、別のオスを用意してペアの相手を変えて再度お見合いからスタートさせてみてください。
オスは生後6か月ほどで成熟し、繁殖適齢期を迎えます。
産卵後
メスは産卵に体力をたくさん使うので、産卵後は一時的に失神します。
その後、メスは疲労し衰弱しているので、オスと隔離します。
産み落とされた卵はオスがくわえて泡巣に入れて、稚魚が生まれるまでオスが卵の世話をしますので、孵化するまではベタのオスに卵の世話をさせてください。
オスは稚魚が孵化するまで餌も食べずに卵の世話をします。
何日も餌を食べないので心配になるでしょうが、餌を与えたり、水槽に何度も様子見で近づいたりするとオスが驚いて卵を食べてしまうため、不必要に触らずに静かに見守ってあげてください。
稚魚の育成についてはこちら「ベタ稚魚の育成、餌やり、水温、水質管理について」参照