ヒメタニシはメダカ水槽のベストパートナー！メリットとデメリットの解説

水田では有害生物として農家さんに嫌われているタニシですが、正確には正式名称スクミリンゴガイというタニシとは別の生き物です。
見た目が非常によく似ていて大きいのでジャンボタニシと呼ばれるようになりました。

少し話が逸れましたが、今回はこのジャンボタニシでは無く、水槽内で有益に働く小型の掃除屋さんであるヒメタニシをご紹介します。

ヒメタニシについて

タニシは日本原産の貝で、ほぼ全国に生息しており、田んぼや川、池、用水路など流れが穏やかな場所であれば普通に見られます。
珍しいものでもないですが、いない地域もある様で、他県の淡水魚アクアリストの仲間でも全く見つけられなかったという声も聞けるほど、いない所にはいない様です。

お住いの地域で見つけた人は、もちろんそのタニシを持ち帰って汚水や泥を吐かせるなど数日は別容器に入れて、きちんとトリートメントすればメダカ水槽やプラ船、池などのビオトープで飼育することに何の問題もありません。
しかし！！その際に必ず注意しておきたいことがあります！
それは本当にタニシかということです。
冒頭でも話した通り、水田や用水路にはジャンボタニシ「スクミリンゴガイ」がヒメタニシよりも圧倒的に多く生息しています。
こいつはヒメタニシとそっくりな見た目をしており、特に子貝であれば、素人目では判別できないと思います。

スクリミンゴガイを持ち帰って水槽に入れてしまうと度を超えた食欲と繁殖力で水草は食いつくされ、気持ち悪いピンクの卵を産みまくり、悲惨な水槽になってしまうため、絶対にヒメタニシだと安心できる近隣のアクアショップや通販サイトから購入することを強くオススメします。

ちなみにヒメタニシは大人になっても5cm未満、卵を産まない卵胎生なので気持ち悪い悪夢を見なくて済みますので、ぜひヒメタニシを自宅の水槽に入れてあげてください。

観賞魚水槽にヒメタニシを入れることのメリット

5cm以上大きくならない鑑賞性の良さと濾過摂食、苔取り、デトリタス食など、ヒメタニシさえいれば他の掃除屋は不要なほどクリーナーとして優秀です。

また他の苔取り貝と大きく違うのは、ひっくり返っても自力で起き上がれること、デトリタスを食べるということが最大の特徴です。

この様に人為的に掃除するしか無かった飼育水汚れの原因になるものをヒメタニシは掃除してくれ、メダカや金魚など観賞魚飼育に絶大な水質維持・浄化の効果を発揮してくれます。

Kyo

後述していますがタニシは飼育魚の稚魚など小さいものでも元気な個体には一切襲ったり、食べたりはしません。

ただし自分で一切泳ぐことも出来なくなった魚や横たわって☆寸前の魚は食べられることがあるよ。そのような個体を見つけたら襲われない様に隔離してあげると良いよ。

ヒメタニシはメダカの卵を食べてしまうのか？　解説

結論から言うと基本的に食べることはありません。
生き物の世界なので絶対に食べないとは断定できませんが、まず食べることは無いと思っていただいて大丈夫です。
実際メダカが次々産卵している水槽にヒメタニシを大量に入れていても卵を捕食している様子はありませんでした。

ただし！ヒメタニシは捕食しなくても、メダカの親魚は平気で卵を食べるため、メダカが産卵し、水草や水底に産み付けた卵を発見した時は速やかに隔離するのが安全です。
なお、そのまま稚魚が生まれたとしても、メダカの親魚は稚魚も食べてしまう為、採卵し稚魚になっても、親魚の水槽に戻さず、稚魚育成用の小型水槽やサテライトなどで親と隔離したまま育てる方が良いです。

生まれてすぐの稚魚は遊泳力が弱くエサ取りも下手な為、親水槽にサテライトを設置して1cmぐらいに育つまでサテライト内で育てる方が生存率が高くなります。

1cmぐらいまで育ってくると大きい子や小さい子と同じ兄弟であっても成長差が生じてきて、小さい魚はイジメられることが多い為、あまりにも成長差が大きく出た場合は稚魚同士も隔離してあげると良いです。

Kyoは採卵したら100円均一で売っているバケツや20Lほどの衣装ケースで孵化させ、稚魚が水面で泳ぐようになってきたらスポンジフィルターを使って、若魚ぐらいに育つまで育成管理しています。

スポンジフィルターは、バクテリアの繁殖量が多く排出される循環水も緩やかで水槽内に強い水流を起こさないので、観賞魚の稚魚や幼魚の飼育に最適です。

上記のテトラ社から販売されているブリラントフィルターがスポンジフィルターの中で特に優秀だと体感しているため、私は好んでこれを使用しています。

※他社のものも幾つか使用しましたが溶存酸素作成量や水質浄化能力がブリラントより劣っていると感じ、実際同じ水量・環境の中で同匹数のメダカを飼育し、他社のスポンジフィルターの方がメダカが落ちていった数が圧倒的に多かったです。
あくまで個人の体感・感想なので、上記が絶対正しいのではありません。

Kyo

ブリラントは優秀ですが、他にも優秀な商品は出ているので、自身で色々試してベストなものを見つけるのも面白いと思います。

ヒメタニシを入れることのデメリット

ヒメタニシは越冬するので土に潜る習性があります。土に潜るということは底砂を掘るため植えたての水草や根張りの弱い水草は抜けてしまうことがあります。
水槽内に入れたヒメタニシの数が多いだけ底砂を拡散するので、水草レイアウトを作ったばかりの水槽であれば崩される可能性があることがデメリットです。

ヒメタニシのデメリットは観賞魚にも影響が出ます。
それは、ヒメタニシが☆になった時です。貝類は☆になると魚類より腐敗が早く、大量に水を汚すため、飼育魚が水質悪化や急変で病気になったり、衰弱する恐れがあります。
1匹程度であれば気づいた時に取り除く＋水換えで対応できますが、これが集団で☆になった、小型水槽で起こった場合は特に汚水になる影響が大きくなるので、ヒメタニシを飼育する場合は☆にさせないように上手く飼育する必要があります。
飼育管理や注意点については次に記載しています。

ヒメタニシ飼育のポイント・注意点

メダカが問題なく飼育できている水槽であれば、特に気を付ける部分は無いと思います。
汚水や低水温にも強いので、そうそう☆になることはありません。
注意する部分を挙げるとすれば、酸性寄りの水質には弱く、貝殻が溶けてしまうため、酸性に傾かない様に気を付けると良いです。
特に古くなった水は酸性に向いてくるのと、井戸水は地域によって酸性寄りになっていることがあるため、井戸水を使う場合はPH試験紙でPH6未満でないかチェック、何か月も水換えはサボらずにすることで飼育水槽の水質が酸性にならないように管理してあげましょう。

もう一つ注意点は低水温に強く冬越しも出来るのですが、水温が低いと底砂の中に潜って出てこなくなったり、水底や水面付近でずっと動かなくなることが多いので、☆になったと勘違いして剥がしたり、捨てたりしないようにしてください。
冬を越すために行っていることなので、水温が上がれば元気に活動します。
水温の低い中で無理に動かすとダメージを大きく受けてしまう為、注意してください。

ヒメタニシQ＆A「スネールとの見分け方や繁殖方法など」

スネールとタニシの見分け方、タニシは卵を産むのか等、Q&A方式で答えています。

Q1.スネールとタニシの見分け方は何ですか？

スネールとタニシの一番簡単な見分け方は、殻の巻き方の方向を見ることです。
タニシの殻は全て右巻きですので、そうでない時点でタニシではありません。
なので判別が付かないものは貝殻の巻き方の方向で判断すると良いです。

Q2.水槽内で貝が大繁殖しました。タニシでしょうか？

タニシを複数飼育しているのであればタニシが繁殖した可能性もありますが、その貝の大きさが2mm以下の凄く小さい貝であればタニシの稚貝ではありません。
タニシは全て卵胎生で、卵を産まないで子貝で生まれてくるため、生まれたばかりでも2mm以上はあるので、よく目を凝らさないと見えない大きさの貝であればタニシ以外の貝でしょう。

Kyo

2mm以上に成長したスネールの判別方法もあります。軽くつまんでみてプチっと潰れるほど柔らかい貝であればスネールです。タニシであれば、つまむくらいでは潰れません。

Q3.水槽内に透明のジェルに包まれた卵を見つけました。タニシの卵でしょうか？

結論から言うとタニシではありません。 タニシは稚貝を産むため、そもそも卵を産まないからです。
タニシの他に水槽内にいるものがメダカ、ドジョウ、エビなどであり、その水槽内にジェルに包まれた卵があるのならば、ほぼ確実にスネールの卵なので、見つけ次第除去しスネールの大繁殖を防ぎましょう。

おまけ：ヒメタニシはボトルアクアリウムのベストパートナー！

最後に、濾過フィルターを入れられないボトルアクアリウムの様な小さな環境にヒメタニシは最強のお掃除役となり、生きた濾過器の様な働きをしてくれるので、たいへんオススメです。

小さなボトルのような環境は水質が激変しやすく、水質悪化も早い為、ヒメタニシのような色んな濾過・水質浄化機能を持つ生き物は、とても重宝します。

おまけに低水温に強く、汚水にも耐性があり、大きく成長しないので、ボトルアクアリウムをする際には、1匹は絶対入れたい掃除屋です。
ただ急激な水温変化には弱く、もし☆にしてしまった時は物凄く水を汚すので、ボトルを気温変化が激しい様な場所には置かない様に注意してください。