カラムナリス病は滑走型細菌が原因で起こる魚病であり、感染力と症状の進行が早く、見つけ次第早急に治療を行わなければならない病気です。
しかし抗酸菌症や臓器損傷の様に治療が困難な病気では無く、適切に治療を行えば完治する病気である為、この記事内に記載している治療手順を参考に処置を行ってみてください。
カラムナリス症の感染経路・原因について
カラムナリス病はフレキシバクター・カラムナリス菌という滑走性細菌が傷ついたエラやヒレ、体表などに付着し体内に侵入することで発症します。
明らかになってはいませんが、飼育水槽内に常在する細菌だとも考えられており、健康な魚には感染しませんが、衰弱したり上記の様に魚体に傷を作ると感染する危険性が高まります。
魚体に傷が付く原因とストレスの原因について
飼育魚が傷つく原因には複数ありますが、網で捕獲する、流木やサンゴにぶつかる、魚同士のケンカなどが多いです。
これらで魚に擦り傷や切り傷が出来ると、そこから病原菌が侵入するため、病気感染を起こします。
また上記以外では水質悪化によるものもあり、硝酸塩が過度にたまっている、飼育水が古くなって酸性に偏っているなどがあるとヒレやエラがギザギザに欠けてきて小傷となり、そこから病気感染を起こす、有毒性から魚の神経を侵し臓器損傷を起こし衰弱させることに繋がります。これが水質悪化で病気になると言われる大きな理由です。
そのため病気感染を起こさないためには硝酸塩やアンモニアが限度以上に溜まらない様に定期的に水換えする、餌の食べ残しや排泄物は腐敗するため小まめに取り除く、濾過槽は掃除するなど水質悪化を防ぐ管理が大切です。
水質がキレイであると寄生虫や病原菌が水槽内で増えにくくなること、飼育魚の免疫力維持・向上に繋がることから水質維持に努めることが何より病気感染を防ぐことになります。
なので飼育魚を病気にさせないためには上記管理法で水質維持に努めましょう。
混泳でヒレが裂けたり、体表に傷が入っても水質がキレイで魚が健康だと自然治癒することが多いです。
ただし海水は雑菌が増えやすく病原体も強力である為、傷が付くと高確率で病気感染するよ。下記のような防御策で予防に努めるのがオススメだよ。
フコイダンは薬剤成分を一切含まない病気予防に効果がある添加剤です。
効果や成分の詳細は上記商品ページの説明欄や以下別記事の「3種の神器~」で紹介しています。
カラムナリス症の症状について
症状は魚種によって多少の差はありますが本質的には同じです。
外観症状
・背ひれ、胸ヒレ、尾ひれなどが白く濁る、溶けて短くなる
・エラが溶けて短くなる、ギザギザに欠けてくる
・口腐れ、体表出血など
カラムナリス症のヒレぐされやエラ病はエロモナス症と比較して病状進行が早く、感染力も強いのが特徴です。
行動症状
水槽の中で溶存酸素が多い場所である水面付近や注水口に集まる
泳ぎがフラフラしていてコントロール出来ていない
群れから離れて泳ぐなど
病状進行により臓器損傷やエラ呼吸がしづらくなるため浸透圧調整が出来なくなっていき、酸素を取り込むために上記の様な行動を取ります。
カラムナリス症の発育・活動条件と治療について
・一般に水温5 ~35度で活動し、27~30度の高水温下で活発化します。
・pHは6.5~8.5で、6.5以下だと活動は鈍くなるそうです。
・塩水耐性があり塩分濃度0.5%付近では発育速度が上がり感染力が強くなり、淡水では「飼育水の硬度が高いほど生存期間が長くなること」が立証されています。
「」内引用文元:1968若林氏・江草氏より
上記の様にカラムナリス菌は水温上昇と塩水、pHと硬度が高い環境ほど感染力が強大になることが分かります。
水温変化での感染実験報告では、「※水温上昇+2度で感染率3割増加、水温の下降-2度では1割以下になった」とのことなので、カラムナリス症を治療する時の水温は現飼育水温より2度ほど下げてトリートメント浴するのが良さそうです。
※魚の感染症 江草周三著 恒星社厚生閣 魚病体験「鰓病」全日本愛鱗会 魚病研究部員 小熊俊壽
魚病薬治療、高濃度塩水浴が治癒効果あり
カラムナリス菌によるヒレぐされなどの各症状はフラン剤、サルファ剤など抗菌剤を含む魚病薬で治療or高濃度塩水浴で治療するのが基本です。
活動条件で分かる様に水温上昇、0.5%濃度塩水浴では進行悪化を早めるだけなので、絶対に避けましょう。
治療中に気を付けることとしては
・pH6.0~6.5以内を常にキープする「ただしこの範囲に適応出来ない淡水魚は例外」
・使う魚病薬の有効期間を把握して使う
・高濃度塩水浴は病気の進行度・重症度によって期間を変える
高濃度塩水浴は病魚の重症度により魚の耐塩性に違いが出る為、塩分濃度3%で30分、2%で1時間、0.6~0.8%で1週間までを限度として実施するとダメージが少なく済みます。
魚類が耐えられる浸透圧は0.9%、病魚では0.6付近まで低下していることもあるため、長期間の高濃度塩水浴を行うのであれば病気の進行した魚でも耐えられる濃度である0.6%が無難です。
pHチェックはおおまかに測定値が分かる試験紙よりもpH測定計やモニターなどを使うと正確に測れます。
魚病薬治療選択する場合はサルファ剤「グリーンFゴールド顆粒」よりフラン剤「エルバージュなど」の方が即効性があり効き目が優れている反面、3日を超える長期薬浴は不可。
ヒレが白っぽい、溶け始めているなど初期症状の場合はサルファ剤の薬浴で様子見、ヒレが溶けている、病状箇所が複数に増えているなど症状が明らかに進行している場合はフラン剤で治療開始するなどケースバイケースで治療選択を行うと良いです。
サルファ剤はグリーンFゴールド顆粒を
フラン剤はエルバージュ
上記で治療を行うと良いです。
フラン剤は薬効期間が短いので、つい再投与したくなりますが、薬剤成分の魚体吸収性が良い為、薬の効果が無くなった後に続けて薬浴を続けると薬害を起こし☆になる後押しをしてしまいます。
上記よりフラン剤は短期勝負ものなので、投薬後3日過ぎてから続けて再投与することは避ける方が無難です。
サルファ剤に切り替えるか休薬期間を挟んでから再投与するかにしてください。
サルファ剤は数日~1週間ほどの長期薬浴が可能です。ただ病気の重症度や薬剤に弱い魚種に左右されるので、そこは注意が必要です。
エラぐされが起きている場合は薬浴が危険な場合もある為、スポイトなどで薬水を直接経口摂取させるとエラへの影響が少なく済みます。
薬水も溶け残りがあると薬害ショックを起こすので、定められた規定量を守り完全に溶かし切ったものを使ってね。
カラムナリス症の治癒回復している判断の目安
投薬が効き始めると各白濁部位の進行が止まり、数日かけて元の色に戻っていきます。
患部の発赤や隆起・腫脹している部分は徐々に退色していき、溶けたヒレや体表の傷「擦過傷、ウロコ剥離、真皮露出など」は魚種や水質環境によりますが、数日~20日ほどで真皮が再生され、ウロコが出来てきます。
新しく再生したウロコは他のものより色に違いがあって目立ちますが、徐々に周りの色と変わらなくなり、そのうち目立たなくなります。
上記の様な治癒変化が見られず、塩や魚病薬でのトリートメント中も悪化している様であれば、投薬が効いていないか治癒速度より病気の進行速度が勝っているので、薬効期間は切れていないか、pH上昇や濾過槽は目詰まりないかなど水槽環境を見直すか、魚病薬を変えてみるなど処置を変えてみてください。
最後に
カラムナリス症は感染力が強く進行も早い病気ですが、早期発見すれば完治可能、進行しているものでも症状に応じて適切に処置すれば治せる病気です。
病気感染していない飼育魚や再発予防については、主に傷や水質悪化などによる神経ダメージが感染経路になるため、常日頃から硝酸塩を溜めない、傷を作らないように予防に努めてあげてください。