海水魚を飼育していると昨日まで元気だったのに急に餌を食べなくなったり、水流のある場所から動かなくなったりすることがあります。これらの考えられる原因と対策について記載しています。
原因考察①:病気の可能性
外見症状で病気と判断出来る場合はもちろんですが、見た目に症状が出ていなくても体内で内部感染を起こしている可能性もあるため、しらみつぶしに病気の可能性を探る必要があります。 例えば水質悪化や急変、弱った魚に多いビブリオ病やエロモナス感染症では重症化してからでないと外見症状が出られないことも多く、気づいた時にはすでに治療の施しようがないことも少なくありません。
ネット情報だけでなく病理本や専門ショップに聞くなどして情報収集を行ってください。
当サイトでも病気治療の記事をいくつか載せているので、そちらも参考にしてみてください。
病気以外でもアンモニアや亜硝酸塩が限度以上に蓄積されていたり、底砂やライブロックの嫌気層から硫化水素が発生していたなども原因になるので、まずは検査紙で測定を行ってみてください。
異常が無い場合でも、週に1度は水質チェックを行い常に異常が無いか小まめに確認することをオススメします。
原因考察②:水流や酸素不足
観賞魚全てに言えることですが、水流や酸素が少ないと生命の危機に関わります。
特に海水魚でこれらが不足することは致命的で、十分に濾過された理想的な水質であっても水流が無いだけでエサを食べられなくなる、最悪窒息する魚もいるほどです。
海水中では酸素が溶けにくく、エアーなどで同じ酸素量を放出しても淡水に比べ1/30程度しか水に酸素が溶け込まないそうです。
なので、体内外で病気感染している可能性が低い場合は、水流や酸素不足による拒食も疑いましょう。
濾過器からの送水では水流が弱い場合は、水流ポンプを使って窒息を防ぐと良いです。
またこの水流・酸素不足は海水魚の生息環境によって必要量が大きく変わるので、飼育魚分布地域の海の環境をネットなどで調べて、必要な量を提供してあげてください。
原因考察③:人工餌しか食べていない
水質に問題が無い、病変症状もみられない場合は、体内で水分不足が起きている可能性があります。ずっと人工餌しか与えていない場合は、より可能性が高いです。
人工餌は栄養バランスが良いものの乾燥タイプのエサであるため、水分を含んでいません。
海水魚は海水中からも少しは水分補給できますが、浸透圧調整に多大なエネルギーを使っていること、余分な塩分濃度を排泄物として出すためにも水分が補助役として使われているので、水中からでは必要な分はほとんど補給できていないです。
なので食べ物から水分を摂取する必要があるので、人工餌だけでなく、2~3日に一度は冷凍餌を与えたり、海藻を食べる海水魚ならば餌用の海藻を与えることが健康維持と餌食いを保つのに重要なことになります。
なお、冷凍餌をそのまま与えるとブラインでもイサザアミ「ホワイトシュリンプ」でも栄養面に偏りが出る為、ビタミン剤やアミノ酸・ミネラルも補給できる栄養添加剤を使用することをオススメします。
スズメダイやクマノミなど丈夫な小型魚であれば水分不足にも強く人工餌だけでも飼育できることが多いですが、チョウチョウウオや中型ヤッコ以上の大きさの海水魚には水分補給は必須なので、飼育者側で水分やミネラル補給の手助けをぜひしてあげてください。
原因考察④
原因①~③のどれにも当てはまらない場合は、水合わせの失敗や水質ショック、薬物採取や誤った魚病薬治療による薬害などの臓器損傷が考えられます。
他にも立ち上げてから1か月未満しか経ってない濾過不足・不安定な水槽や混泳魚過多によるストレス、落ち着けない環境などあらゆることが引き金になるため、これらも対策してあげると良いでしょう。
ここに挙げた原因と対策は可能性の高いものを挙げているだけなので、100%この記事で解決するわけではありません。
これらの対策で解決しない場合は、観賞魚を診てくれる獣医師に相談し診察してもらうか、少しずつ水温を下げて飼育魚が適応できる範囲の低水温で活動を鈍らせ生命維持とエネルギー温存からの体調回復を長期的に狙うのが私の考えられる最善策です。
飼育魚をもれなく救うことは難しいかもしれませんが、出来る対策を全て実施してぜひ大切な愛魚を全力で助けてあげてくださいね。
当サイトでは、この記事の他にも病気治療や飼育法などアクアリウムを行う上で役立つ情報を随時更新しているので、困った時は参考がてらに読んでみてください(^^♪