ライブロックは今や海水魚やサンゴ飼育の定番ですが、利点・欠点をきちんと把握していないと病気感染や飼育魚全滅など取り返しのつかない事故につながります!なのでメリット・デメリットをここで解説していますので、購入する前に読んで、自宅の水槽環境に必要かどうかの判断材料にしてください。
記事後半には「最上質ライブロックの購入先も紹介しているので、ぜひご覧ください!」
Kyoもここでしか購入しないほど、上質で形も豊富なライブロックだよ。レイアウトが自由自在に組めるので、数kg以上欲しいなら、ぜひここで購入してください。
ライブロックの特徴
ライブロックとは石灰藻や多種多様な微生物、バクテリアなどが付着したサンゴの化石で、炭酸カルシウムのかたまりです。
凹凸の形や無数の穴が開いた場所にバクテリアが定着するため、水を浄化する、炭酸カルシウムの働きで水質をアルカリ性に保ちPH下降を防ぐなどの役割があります。
レイアウトとしても水槽が映え、海水魚同士の争いを緩和させることや飼育魚の隠れ家、産卵場所、サンゴやイソギンチャクにとっては活着するための土台になるという特徴があります。
メリットについて
冒頭で少し触れたとおり、炭酸カルシウムのかたまりなので、水槽内に入れておくだけで水質をアルカリ性に保ち、PHやKH低下を防いで維持することができます。
少しずつカルシウムやミネラルが溶け出すため、サンゴやイソギンチャクに必要な栄養補給、甲殻類の脱皮を助けるのにも役立ちます。
特にサンゴにとってはフラグや人工物に活着させるよりもライブロックの方が定着しやすく調子が上がりやすい様で、増殖スピードが早まり、色上がりも良いように感じます。
また多種多様なバクテリアや微生物が付着するため、水質浄化や餌付いていない海水魚のエサ場になることもあります。
発生するものや付着してくるものには、ケヤリムシやゴカイ、カイメン、ヨコエビなどチョウチョウウオやヤッコなどの海水魚にとっては栄養満点の活き餌が湧きます。
購入や採取直後の餌付きにくい海水魚の維持や餌付くまでの栄養補給源に役立つことも大きなメリットになります。
ライブロックのデメリットについて
一見いいことづくめに見えるライブロックですが、デメリットも多くあります。
順に解説していきます。
水槽立ち上げに時間がかかる
水槽を立ち上げたすぐにライブロックを入れると、かえって立ち上げにかかる時間が増えてしまいます。
立ち上げて間もない場合、付着しているバクテリアや無数の微生物が生存出来ず、多量の腐敗物やアンモニアが出る為です。
全てのバクテリアや微生物が死滅するわけでは無いので、濾過が安定している水槽であれば多少水は汚れますが緩衝作用により水質を戻すことが出来ますが、立ち上げて3週間未満であれば、多量に増えた腐敗物により水質の急変を起こすため、ヤッコやチョウチョウウオ類など病気になりやすい海水魚は飼育しない方が良いです。
このように濾過が立ち上がっていない水槽に入れると、かえって立ち上がりが延びてしまうことが1つ目のデメリットです。
ある検証データによると何も入れないで濾過を回した60cm水槽では、ある程度立ち上がるのに3週間かかったところ、ライブロックを5㎏入れた同じ条件の水槽では立ち上がるのに5週間かかったとのことです。一概には言えませんが、立ち上がるのに倍近く時間がかかる様です。
有害生物を招いてしまう
ヨコエビやケヤリムシなら、それほど害は無いですが、どんな良質なライブロックでも海水魚やサンゴに害を与える有害生物もほぼ確実に招き入れてしまいます。
海水魚に有害な生物
・大型のウミケムシ
・カニ
・白点虫、アミルウーディニウム
・ヒラムシ、エラムシなど寄生虫など
元気な海水魚であれば、さほど問題にはなりませんが、疲労していたり衰弱している海水魚には上記寄生虫、スズメダイやクマノミ、小型ヤッコなど小型海水魚であれば成長したカニやウミケムシに捕食されることもあります。
1cm未満の子ガニでも数か月すればスズメダイぐらいなら捕食できるほど大きくなります。同様にウミケムシやカーリーも巨大化すると刺胞毒にやられることがあるため、見つけ次第取り除くことをオススメします。
サンゴに有害な生物
・ウニ
・ウミウシ
・ウミケムシ
・カーリー「セイタカイソギンチャク」
・ヒラムシ「サンゴに付く寄生虫」
・巻貝「サンゴを食する仲間のもの」など
ソフトコーラル、ハードコーラル問わず、ウミウシや巻貝はサンゴを食べ、寄生虫、ウミケムシ、カーリーなどはサンゴを溶かします。
特にウミウシはスターポリプやマメスナなど丈夫なサンゴも食し、水槽いっぱいに増えたサンゴも、たった数日で全滅させるほど被害は大きいことが多いです。
ウミウシや巻貝はライブロックに付着していないことを確認してから投入したとしても、卵が付着していて結果的に繁殖する危険性があるので、歯ブラシなどで軽くこすり落とすことをオススメします。
ウミウシやカーリーなど有害生物の駆除方法は「」で紹介しているので、知りたい方は読んでみてください。
http://kyo-tabi.com/2021/07/27/%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%9d%e3%83%aa%e3%83%97%e3%82%92%e6%ba%b6%e3%81%8b%e3%81%99%e3%82%ab%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%81%ae%e6%9c%89%e5%8a%b9%e3%81%aa%e9%a7%86%e9%99%a4%e6%96%b9%e6%b3%95/
シャコガイにも吸血虫が寄生しやすくなります。飼育する場合はニセモチノウオが食べてくれることを確認しているため、導入することをオススメします。
このように飼育生物全てにおいて有害なものを持ち込む可能性が跳ね上がりますので、ライブロックを入れる際は、表面の付着物や空いた穴の中に至るまで、入念にチェックすることをオススメします。
バクテリアの住家になるが病原菌の巣にもなる!
特徴やメリットの部分でも少し触れましたがゴツゴツした形と無数に空いた穴にバクテリアが無数に定着するため、水質浄化効果はあります。
しかしバクテリア以上に雑菌、細菌などの病原体、白点虫やウーディニウム、ハダムシなど寄生虫も付着しています。
これを閉鎖空間である水槽、狭いスペースでの混泳、人工的に作った水流というストレス環境下では環境管理をしっかりしていないとスズメダイなど強健な個体を除いて、海水魚は簡単に病気に罹ったり、☆にしたりしてしまいます。
特に購入したばかりの海水魚や採取してきた海水魚などは疲労やストレスで体表粘膜が薄れ、とても病気に罹りやすくなっているため、何も入れていないベアタンク水槽よりも、格段に管理が難しくなります。
飼育魚の隔離や捕獲が難しくなる
飼育魚の混泳が上手くいかなかった時や病気になった時など隔離が必要になった時にライブロックを組んでいると、たいへん苦労します。
捕獲するために追いかけると砂を撒きあげたり、ライブロックに積もったゴミや汚れを撒き散らすし、組んだライブロックを動かすと蓄積したヘドロが水中に蔓延するため、水槽内が病原菌だらけになります。
海水魚は病気感染してしまうと治療に苦労する場合が多い為、病気感染に弱い海水魚や気性が荒い海水魚はライブロックを組んだ水槽内に入れないことをオススメします。
ライブロックがあると基本的に魚病薬全般は使えないので、病気に弱い魚とエビやカニなど甲殻類の飼育は控えた方が安全です。
病気になる度に引っ越しを繰り返すと水質ショックや浸透圧調整機能低下を起こして☆になることがあるよ。淡水魚と違って海水魚は環境変化に弱いので、何度も飼育環境を変えない様に注意が必要だね。
ライブロックは腐ることに注意!
デメリットの項目に入れましたが、ライブロック自体が腐敗することがあります。
腐敗したライブロックは内面が黒色のヘドロだまりになるため、硫黄の発生や急激な水質悪化の原因になります。
外見上は分かりにくいので、定期的な水質検査の数値や水槽内の臭いの変化で判断すると分かりやすいです。
腐っている様な気がしたら、飼育魚が全滅する前に取り除いて捨てるようにしましょう。
確実に判断するポイントは怪しいライブロックの枝を割ってみることです。
上記の様に腐っている物は泥の様なものが吹き出します。
全体で無くても腐敗臭が強い場所だけを割るだけでも判明することが多い為、金づちなどで局所を叩いてみてください。
ライブロックは腐敗していない部分は割っても使用できるため、内面がキレイで使えるものは使用してもOKです。
ライブロックを使用するのは、どんなとき?
ここまでデメリット中心に書いてきましたが、最後に「ライブロックを使用するべきなのは、どういう時か?」について記載しておきます。
繰り返しになりますが、海水魚のみを飼う場合、Kyoはライブロック不要だと思っています。
ろ材を増やしたり、白化サンゴ「デスロック」を同じ量入れていれば、十分代用できますので。
では、ライブロックは何に使うのか?
それは、サンゴやイソギンチャクなど無脊椎生物を飼育する時に使うべきです。
特にサンゴ飼育ではフラグや人工ライブロックなどのレイアウト物に活着させるよりも、ライブロックに活着させた方が、成長速度も状態維持も、遥かに良く早いことを飼育経験上、実感しています。
白化サンゴでも代用できますが、サンゴやイソギンチャクはヒラムシなど寄生虫は付くことはあっても白点病やウーディニウムなどの海水魚が感染するような病気には罹らないこと、何よりライブロックは鑑賞上の見た目が映えるので、サンゴ水槽をメインに考えるのであれば、ライブロックは最適だと個人的に思います。
ライブロックをたくさん入れた水槽には、カーリーやウミケムシなどが湧きやすいので、サンゴが枯らされないようにだけ注意してくださいね。
ヤッコやチョウチョウウオなどを飼育するのであれば、すぐ病気治療出来るように、人工ライブロックや白化サンゴを使うことをオススメします。
最後に、ライブロックを購入する店は、ここ一択!
ライブロックを購入するのであれば、スプラッシュ「SPASH」一択です。
というか、Kyoはライブロックをここでしか買いません。
その秘密は、塊のものも枝状のものも好きに組み合わせて買えることと好きなだけ量を購入出来ること。注文数が常に物凄いので、在庫を切らさない様に、随時超大量に仕入れて確保しているために、実現できることだそうです。
私が説明するより、店のホームページ「HP」を見てもらう方が伝わると思うので、HPのリンク先をここに載せておきます。
本当に素晴らしい逸品なので、ライブロック購入の際は、ぜひ「SPASH」さんをご利用ください。
また、枝状のライブロックで組んだとしても、ベアタンクよりは水槽内に淀みが出来るのは確実なので、有害生物や雑菌を増殖させないためにも、水槽内に水流を作って必要があります。
Kyoが好んで愛用しているのは、jebao社のフォルス「Force」ウェーブメーカーという水流ポンプですが、今は国内で販売されておらず手に入りにくいので、以下2点をオススメします。
※ウェーブメーカーは類似商品が多く出回っており、品質が悪いものが多い為、くれぐれも間違えない様に注意してください!
幅60cm以下の小型水槽には、上記のボルクスジャパン社のベスタウェーブスリムが特に人気です。
特徴
「・6パターンのウェーブプログラムを搭載!
・水流を10分間停止する休止モード搭載!
・夜間の水流を弱めるナイトモード搭載!
・ナイトモード:水流モード2・出力30%で固定されます。
・消費電力:8W 出力:2,000L/h
・適合水槽:30~60cm
・出力調整:30~100%
・速度調整:Slow-Fast
・給餌モード:約10分間ポンプを停止」
※「」内文章、volxjapan公式HPより引用
ORCA Minute Stream 2000
ミニットストリームもオススメです。
小型水槽用で高さが無くスリムなので水槽を広く使えますが、水流を起こすファンの面積は大きい為、水槽内では存在感の放ちます。
モーターは静音でプログラム機能も自由性が効くため、45cm以下の小型水槽に使うのに、こちらもオススメです。
60cm水槽からは好みと予算によりますが
・ベスタウェーブ「販売元:volxjapan」
・ファンタスティックウェーブ「販売元:MMC企画レッドシー事業部 ZOOX」
上記2つがオススメです。
専用コントローラーが付属しており、動作が切り替わる間隔を99段階、インペラーの回転速度は9段階とプログラム変更自由度がとても高いことが特徴です。
また対応ガラス厚はZX4000で10mmまで、ZX8000で12mmまでと従来の水流ポンプでは対応出来なかった厚みのある水槽でも磁石固定出来ることも大きな特徴。
自由度と緻密性が高い分、販売値段も若干高めなので、詳細は上記販売ページより、ご確認ください。
※ちなみに公式HPにも記載が無かったファンタスティックウェーブのナイトモード水流量はZX4000で 約1800~2100だそうです。
MMC企画レッドシー事業部社員に直接問い合わせて、上記水流量だと返答がありました。
特にサンゴ、イソギンチャクを育てるにはランダムな水流が必須なので、必ず入手しておいてください。
どうしてもjebao社の物が欲しい場合は、フリマアプリやオークションで探す、海外amazonから購入すると手に入ります。
なお、有名なジャイルやボーテックなどの高級水流ポンプはソフトコーラルや殆どのハードコーラル飼育に使わなくても十分育成も養殖も出来るので、必須ではありません。
上記紹介した様な水流ポンプで問題なく育成出来ます。
育成するサンゴの数が過密気味、ミドリイシ飼育や高級スコリミアなど難易度が高いものについては例外です。そういう場合は、検討をオススメします。
まとめ
病気に滅多にかからない丈夫な魚や甲殻類、貝類、サンゴ、イソギンチャクなどを飼育するのであればライブロック
・病気や寄生虫に付着されやすい海水魚を飼育するのであれば白化サンゴ「デスロック」
という風に使い分けると良いと思います。
海水魚・サンゴ飼育で大事なことは飼育生体に応じて、いつでも早急に処置・対策が打てる水槽にしておくこと、準備を整えて一緒にアクアライフを楽しみましょう(^^♪