マツカサ病「松かさ病」の原因、症状、治療法

熱帯魚・ベタ
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病名の通り魚のウロコが松重「松ぼっくり」のように逆立ち魚体が膨れあがる病気です。

進行していくと治療が困難な病気であり、早期発見・早期治療が生存率に大きく影響します。

※2022/2/7に記事を修正・追加更新しました。

症状

初期:食欲あり、体表に異常はないので気づきにくいですが、多少いつもより泳ぎが鈍くなるなど泳ぎ方に違和感が出ます。
魚種にもよりますが、肌荒れやウロコの先端がギザギザに欠けてくることもあります。

初期~中期:よく観察するとウロコの先端が跳ねているように開き始めます。
ウロコの先端と皮膚の間に隙間が出来てくると、その時点で松かさ病と診断し、即治療を開始してください。

中期:ウロコが逆立ち、腹部が膨らんできます。

   両方が膨らむ場合と片側が膨らむ場合の2パターンがあります

   頭を振りながら泳いだり、水面付近や水槽の底付近を泳ぐなど明らかに元気が無くなります。

末期:松ぼっくりのようにウロコが完全に逆立ってめくれ上がり、魚体は風船のように大きく膨れます。

内臓破裂が起こっているため、餌は食べれず、皮膚が露出しているため体表から血が滲んだり、浸透圧のコントロールが出来ずに目が飛び出したりし、治療が困難な状態になります。

原因

主な原因は水質悪化です。
硝酸塩が過剰に溜まっていたり、濾過不足でアンモニアなどの分解がされていないと魚体にダメージを与え、臓器損傷や体表に傷が付き、病気感染に至ってしまいます。

熱帯魚ではネオンテトラやアカヒレなど小型カラシン類に多く、琉金やらんちゅうなど金魚にもよく見られる病気です。
水質悪化と温度変化に比較的強いメダカやベタでも見られ、大型魚ではアロワナにも見られると魚種問わず感染します。
また淡水魚特有の病気では無く、海水魚にも発症する症状で、管理を怠ると強健とされるスズメダイでも罹ります。

出典:~海水魚・安全水槽のすめ~

ちなみに松かさ病という病名が付いていますが単独の病気では無く、エロモナス感染症による症状の1種なので、松かさ症状が出れば、尾腐れや穴あき、腹部腫脹などの症状も併発して出やすいです。
エロモナスは細菌なので抗菌剤で治療しましょう。

最後に予防法を載せています。

治療法

初期なら、こまめな水換えでほぼ100%完治します。
症状が進行しウロコが少しでも逆立ってきている場合は、魚病薬での治療を行います。
抗菌剤であるサルファ剤やフラン剤を使用して薬浴させましょう。

Kyo
Kyo

フラン剤は魚体への薬剤吸収効果が高く即効性がある反面、薬浴期間は24時間以内と短くしないと薬害が出やすくなります。長期薬浴は出来ないと認識しておきましょう。

ちなみにサルファ剤は長期薬浴可能で、代表的な魚病薬はグリーンFゴールド顆粒「以下GFG顆粒」になります。

初期~中期症状時の治療や後述しているフラン剤治療後に行う体表ダメージ治癒するまで二次感染予防目的の長期薬浴に使うのに重宝します。

フラン剤治療「エルバージュなど」の取扱い注意点について

フラン剤は魚体への吸収率が良いゆえに治癒効果が出るのが早いのはメリットですが、用法・用量を遵守しないでの薬浴は薬害が出やすく病魚を☆にさせやすいので注意が必要です。

販売元によると「エルバージュエースの薬効期間は2~3日間」だということです。 なので後述しているGFG顆粒の様に3日を超えた薬浴はするべきではないと思ってください。

正しい使い方を知っていれば、優秀な魚病薬なので、ぜひ知ってリスクを少なく治療効果を高めましょう。

GFG顆粒やグリーンFクリアーの様に薬効期間が切れたから再投与で薬浴期間延長なんてことは基本出来ないので、そこは注意してください。

魚種や重症具合にもよりますが、いきなり規定量をドバっと投与するのではなく、まずは規定量の1/3から開始、1/2から開始など何度かに分けて魚病薬を投与するように薬浴開始してください。

なお、詳しい魚病薬の薬浴手順や注意点などは別記事で紹介しているので、そちらを参照してください。

エルバージュも治療薬ですが、病状が進行し弱っている魚には規定量の半分~2/3に調整し、使用する方が良いです。

魚病薬の効果を最大限にする、飼育魚の負担を最小限にする方法について
魚病薬が効かないのは水が汚い、濾過槽や底砂にゴミ・ヘドロが溜まっているなど環境に問題があるのが殆どです。薬効成分がきついと言われているのも使い方次第で効果抜群、負担最小限に出来る為、この記事でこれら方法を記載します。

魚病薬治療の正しい手順や環境準備を知っているのと知らないのでは効き目や治癒速度に雲泥の差が出るので、治療開始の絶対条件として、ぜひ知っておいてください。

魚病薬治療時の注意点についても別記事に紹介しているので、そちらも読んでみてください。

薬浴中に☆になる原因と対策について
よく病気の治療中に魚を落としてしまう人は必見!薬浴中の注意事項と生存率を上げるポイントなどを中心に記載しています。

サルファ剤「GFG」での長期薬浴について

主に初期症状や病気が進行し重症化した病魚をフラン剤で治療した後の延長治療目的に用いることが多いです。

サルファ剤は薬効期間が長く3日~5日前後まで薬浴効果が続きます。
なので使用手順としてはフラン剤で1日薬浴し、投薬し24時間経過後からはGFG顆粒に切り替え1週間ほど長期薬浴するなどが良いです。

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松かさ病の予防について

主原因であるエロモナス菌は水中に常在する細菌なので、どんな環境にしようと細菌をゼロにすることは不可能です。
ただ感染する原因は傷がある、弱っているなど衰弱した魚に罹る日和見感染的なものであるため、健康な魚には発症しません。
なので水質を維持し、飼育魚にストレスや傷を作らない水槽環境を保つことが最大の予防になります。

傷を作る原因には硝酸塩が限度以上に溜まっている、混泳魚との仲が悪い、流木やライブロック、人工レイアウトなどで擦り傷を作るなどが考えられるため、極力このような環境は無くし、遊泳スペースと隠れ場所のメリハリをつけて飼育魚が落ち着ける様にしてあげてください。

最後にテトラやグッピーなど群泳が出来る魚でも過密飼育しすぎるとケンカが起きなくても水質悪化でエロモナス感染→松かさ症状を起こすので、水量に応じた魚数で止めるか、エアレーションをたくさんかけて溶存酸素量を増やす、ろ過装置のグレードを上げて硝化サイクルの効率を上げるなど飼育者側で管理をしてあげてください。

※西日本は60Hz、東日本は50Hzと周波数に違いがあるため、お住いの地域に合ったものを選んでください。

バイオラボトット社から上記の様な商品も出ているので、60cm水槽でも50匹、100匹以上群泳させたい!という方は使ってみると良いかもしれませんね。

以上、今回は「松かさ病の治療、予防について」を紹介しましたが、別記事でも観賞魚の病気治療や飼育方法など色んな記事を書いています。
当HPのワード検索画面から知りたい情報を入力すれば該当するものが表示されるので、他の病気治療や飼育方法で困ったことがあれば、参考までに読んでみてください(^^♪

病気治療は用法・用量を守り、自己責任でお願いいたします。

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