エラ病を起こしている重症・衰弱病魚の治療法

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見た感じどこも悪くないのにエサを食べないし調子が悪い、衰弱していく場合はエラ病に感染しているかもしれません。エラ病に感染すると激しい呼吸苦を起こすため何の対処もしないでいると、あっという間に☆になります。
この記事では見た目では分かりにくいエラ病の原因や特徴、治療法などについて主に記載しています。

エラ病とは

病気症状や寄生虫感染、栄養障害など様々な原因が引き金となってエラによる呼吸運動や浸透圧調整が阻害される疾患の総称です。
淡水魚・汽水魚・海水魚全てに起こるもので、進行も早いことが多いので、早急に対処しないと手遅れになってしまう恐ろしい病気です。

原因

発症する原因は多数あります。
細菌性エラ病や栄養障害の症状として単独で出る場合もありますが、ほとんどは以下の様な原因で発症します。

エラ病が症状として出る病気

運動性エロモナス病、カラムナリス症、細菌性エラ病、水カビや綿カビ「リムフォシスティス」がエラに付着、ウーディニウムの末期など

寄生虫によるもの

ツリガネムシ、トリコディナ、吸虫類「一例:ギロダクチルス」、エラムシ、住血吸虫など

栄養障害によるエラ病

単食で育てると栄養の偏りから発症する

その他原因まとめ

他にも酸素欠乏による呼吸困難、神経や臓器損傷による呼吸困難、添加剤による窒息、薬害による呼吸困難などもあります。

Kyo
Kyo

これらは溶存酸素量不足、アンモニアや硝酸塩が限界以上に蓄積されている、魚病薬の溶けが不十分、何度も薬浴を繰り返すなどが誘因になります。

添加剤では粘液性のあるものは完全に溶かし切らないとエラ内部に張りつきコーティングされたり、バクテリア剤では、ろ過材などバクテリアが住み着くところが少ない場合に飼育魚のエラ内に住み着いて同じように窒息を起こしたりするので十分注意してください。

エアレーションしているし病気にもなっていないのに、なぜか☆になった時に意外と多いのが、これら添加剤や薬害による窒息です。

上記の様な粘り気の無い塩素除去・エラ保護成分配合の添加剤を使うと人為的なミスで起こしやすい窒息事故を防げるのでオススメです。

アクアセイフや塩素除去剤を使う場合は、完全に溶かし切ってから使う様に注意してね。

他にも確定はしていない予想の範囲ですが、ウイルスによる感染もあるとされています。「エラの一番外側の表皮細胞は刺激によって傷を受けやすく、それがウイルスによって増え、鰓が完全にくっついてしまい、先端が白っぽく見える」というのが推測されています。 「」内文章引用元:新潟県内水試

健康魚がエラ病になる原因で有力なのは、目には見えないほどの細かい餌の食べかすの粒子や汚れの粒子「SS」などの水中に漂う微小な浮遊物が、常に水槽内で泳ぐ魚のエラの外側に当たり、その刺激や傷によって細胞が増えて寒天状のものができるのではないかという見方もされています。

SSなどアクアリウムの専門用語については別記事で紹介しているので、そちらを参照ください。

アクアリウムでよく使われる専門用語や医学用語を徹底解説
観賞魚飼育でよく用いられる専門用語、病気の症状名、略語などについて意味と及ぼす影響について徹底解説しています。飼育用語で分からない単語が出てきた場合に活用ください。

症状について

飼育魚にもより症状はケースバイケースですが、

・エラが閉じ気味で動きが少ないor頻回に動かし苦しそうにしている
・水面や水底で動かず、じっとしている
・注水口など水が循環する場所から動かない
・エサを食べなくなった
・ほとんど泳がず浮遊している様な状態など

上記の様な症状が主に出ます。

エラ病の治療法

原因元を問わず共通してエラ病を併発して重症化している場合、いつもの調子で魚病薬を投与するとなんとか機能しているエラへ致命傷を与えてしまいます。
たとえエロモナスやカラムナリスの病気が主原因であろうとです。

エラへ悪影響を与えない基本的治療選択として魚病薬を染みこませたエサを与える経口投与があるものの、ここまで来ている魚は基本エサを食べれません。
スポイトを用いて強制的に飲ませることもありですが、その方法で弱らせて☆になるのを後押しすることも多いです。

Kyo
Kyo

淡水魚に対しては塩水浴、海水魚では淡水浴が治療に有効なこともあるが病原元や進行度合いによっては致命傷で生存できなくなることもあるので、実施できるかどうかは見極めが必要です。

よって愛着のわいた飼育魚や高価な魚、滅多に手に入らないレア魚など絶対に落としたくない飼育魚がエラ病になった場合は、エアレーションをかけて、ほんのり薄く色づく程度に治療効果のある魚病薬を入れ細菌の増殖を抑えながら自然回復を待つのが生存を優先したセオリーな方法だと思います。

エアレーションは豊富にあるに越したことはないですが、エアーの勢いが強すぎたり、小型水槽では水流が発生し病魚を無理に泳がせ体力を削ってしまうので、回復に使うためのエネルギーが保てません。
なのでエアレーションは水流が発生しないような形式のものが理想です。

あと飼育している魚がメダカや金魚の様な冬越できる魚であれば低温不活性化で時間を稼ぐのが最もオススメです。

熱帯魚「ベタ含む」や海水魚の場合は飼育可能な最低水温を各飼育魚ごとに調べてから、水温を設定し療養してあげてください。

あらゆる難病に対して有効な低水温療法のやり方については別記事で紹介しています。

治療困難な病魚に行う最後の切り札「低水温療法」について
魚病の末期や病気の複合感染、エサも食べられなくなったなど回復の望みが低くなって不安なアクアリストに贈る奥の手「低水温療法」の紹介です。

エラ病の予防について

エラ病を予防するためには水質を維持すること、細菌やウイルスの温床になりやすい濾過槽の掃除を定期的に行うこと、溶存酸素量を豊富に確保すること、ある程度水流をつけ水槽内に止水域「淀み」を作らないこと、添加剤や薬剤「魚病薬」はよく混ぜて完全に溶かし切って使うことなどに注意すれば発症をグッと減らせます。
どれも基本的なことですが、大切なことです。

上記に加え、週に1回は水質チェックも必ず行いましょう。

海水魚の場合は海水用の水質検査紙を使ってください。

水質チェックは簡易的なもので問題ないですが、PHも忘れず測定してください。

あとは毎日飼育魚1匹1匹の健康観察を行い、病気の兆候が出ていないかチェックしましょう。
行動に異常はないか、目の色やエラの動き、体表やヒレに異常はないか、口元から肛門周り、尾ひれにかけてまで隅々までチェックしてあげてください。

これらを全て管理することでエラ病だけでなく、他の病気も未然に防げるし、発症していても早期に対処できるため進行を防ぎ、重症化で手遅れになることも減らせます。

今回はエラ病について記載しましたが、当HPでは観賞魚の病気治療や飼育管理などの記事に根拠と力を入れて具体的に書いていますので、困った時はぜひ読んでみてください(^^♪

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