海水魚の白点病の治療法、ウーディウムとの見分け方

海水魚
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海水魚の体表に白点が付着していることを簡単に見つけられるものは白点病です。
体色が白かったり、淡い色の海水魚では発見しにくいかもしれませんが、よくよく観察すると見つけられます。

原因

白点虫と呼ばれる寄生虫が原因です。
淡水魚のものとは違い、昇温では治りません。
寄生される原因は海水魚の免疫力が大きく低下した時です。
健康であれば寄生をはじき返す強力な体表粘膜「インターフェロン」が魚体を覆っているのですが、水質悪化や不安定な水温、新規魚追加や混泳ストレス、栄養の偏りなど、様々な原因で海水魚が疲弊したり多大なストレスを受けたりすると体表粘膜が薄くなって容易に感染します。

Kyo
Kyo

古くなった飼育水では濾過槽や底砂にも無数に潜んでいるため、底砂は極力触らない、濾過槽掃除はサボらない様にしましょう。

症状

ごく初期は白点がみられないか、みられても2~3個ほどです。
体表や各ヒレでみられますが、胸ヒレや尾ヒレに好発しやすいです。
格別衰弱することなく餌も食べますが、よく口元や体を置物や底砂にこすり付ける、かゆそうにブルっと身震いする、急に俊敏に泳ぎ出すといった症状がみられます。

初期の数個の白点は寄生して数時間~1日ほどで魚体から一度離れるので、一見治ったように見えますが、水中で産卵し数日で子虫がたくさん生まれ、再度飼育魚に寄生するので、2~3日後には無数の白点が体表に付着します。

リムフォの様に自然に剥がれたり治ることは少ないため、治療が必要になります。

Kyo
Kyo

難しい病気ではありませんが、放置しておくと重症化し呼吸困難や拒食になることが多いので発見次第、即治療しましょう。

治療法

一般的に知れ渡っている低比重療法、銅治療で完治します。
オキシドール「過酸化水素」も確かに治療効果はあるのですが、投与量の調節が難しく、病状が進行している病魚には致命傷を与えることもあるので、扱いに慣れて自信がある人以外は使用しないことをオススメします。

Kyo
Kyo

オキシドールはコケ除去には抜群の効果を発揮するので、Kyoは主にコケ除去用として使用しています。

低比重は1.014前後、銅は規定値オーバーすると海水魚にとって猛毒になるので用法・用量を守り、慎重に投入しましょう。

低比重療法は白点病治療・予防にはたいへん効果的ですが単一だとウーディウム感染や雑菌が繁殖しやすくなるので、フラン剤など抗菌剤を一緒に入れて薬浴させます。

メチレンブルーやGFG顆粒がオススメです。 特にGFGは細菌類に広範囲に効き目があって魚体へのダメージも少なく長期薬浴に向いているので、個人的に最もオススメです。
コメント:白点病は治癒しない限り、何度も体をこすり付けるので、擦傷が出来やすく、そこから他の病原菌による2次感染も起こりやすいことからもGFG顆粒を勧めます。

白点病であれば、どちらの治療法を用いても数日のうちに付着した白点はみられなくなります。見えなくなっても体表粘膜は弱っていたり、寄生されていた傷口から2次感染を起こす、潜伏している可能性などもあるので、見えなくなってから3日ほどは継続して薬浴させた方が良いでしょう。

Kyo
Kyo

薬浴3日+GFG規定量の半分を再投与して3日の計6日の薬浴がオススメ。
完治後はしばらく免疫が出来るので、すぐに再感染はしにくくなります。

フエ&ハッシー
フエ&ハッシー

水槽内に病原菌が蔓延した海水だと、また病気感染しやすいから、治療後落ち着いたら毎日1/5ほど水換えして、飼育器具は丁寧に水洗いするのがオススメだよ。

これら詳細は「魚病薬の効果を最大限発揮させる+病魚の負担を最小にする方法」に記載しています。ご参照ください。

魚病薬の効果を最大限にする、飼育魚の負担を最小限にする方法について
魚病薬が効かないのは水が汚い、濾過槽や底砂にゴミ・ヘドロが溜まっているなど環境に問題があるのが殆どです。薬効成分がきついと言われているのも使い方次第で効果抜群、負担最小限に出来る為、この記事でこれら方法を記載します。

白点病がエラ内部にまで到達している、コショウを振りかけた様に極小の点々が付くウーディウムも併発している場合は、上記治療法では効き目が薄く、また浸透圧調整が出来ず薬浴中に☆になる可能性が高い為、別の治療法にします。

ウーディウム病の治療法は別記事で紹介しているので、併発している場合は、そちらを参照ください。

サンゴやエビなど無脊椎生物がいる場合の白点病治療

この場合は、GFGや銅治療では無く、マラカイトグリーン液が主成分のものを使用します。

マラカイトグリーン液「アグテン、ヒコサンZなど」はパッケージ記載の通り、無脊椎にダメージが少ないので、ライブロックをたくさんレイアウトしていて病魚を捕獲出来ない、トリートメント水槽が用意出来ないなど、どうしても隔離出来ない場合に使用すると便利です。

しかし確かにダメージ負担は少ないのですが、サンゴの中には大ダメージになるものもいるので、ウミキノコやナガレハナサンゴ、アワサンゴの仲間などデリケートなサンゴには使用しない方が無難です。

注意点

低比重+魚病薬の効果が高いのは比重1.014前後の場合であり、1.016を超えると効き目が薄くなります。
またこれより低い1.010以下では海水魚の種類によっては致命傷を与えるので、治療する飼育魚の種類が当てはまらないか調べてから治療開始するのが無難です。

当方が今まで飼育してきて低比重が禁忌だと感じた海水魚の代表例

・ジョーフィッシュの仲間
・ギンポ、カエルウオの仲間
・ニセモチノウオなど一部のベラの仲間
・ハナゴイ、4cm未満のヤッコ幼魚など

上記の海水魚は淡水・汽水に耐性が無く、海水以外に入水することは避けた方が良いです。

現在使用している比重計が簡易式のプラスチックであれば、3か月~6か月ほどで正確に測定出来なくなってくるので、買い替えるor屈折計「ボーメ計」を使うことをオススメします。

ボーメ計は数滴の海水から瞬時に比重を測れるので手が汚れず便利ですが、高価です。
イソギンチャクやミドリイシなど飼育難易度の高いものの飼育や今回の様な一時的な使用であれば買い替えがお手軽かもしれません。

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白点病とウーディウムの見分け方、間違いやすい類似疾患

白点病とウーディウムは見た目も症状も非常に似ていて見分けが付きにくいですが、分かりやすい見分け方があります。
白点病は大きな白点、ウーディウムは小さな点々だと判別してください。

↑白点病

↑ウーディウム病

写真の個体は頭部、背中にも無数に白点がついていますが小さすぎてカメラに写っていません。尾ひれの先に白い粉が点々としているのがウーディウムです。

上記は分かりやすくするため、同じ種族の海水魚を例に掲載しました。

写真からも分かる通り、白点病よりウーディウムは極小です。
白点病は粒、ウーディウムは粉ぐらい大きさに差があるので、それで見分けます。
そして経験上ウーディウム発症した時は同時に白点病も併発していることが多いです。
ただウーディウムを治療すると白点も一緒に治療出来ていることが大半なので、ウーディウム治療を行えば自然と両方治っています。

間違いやすい類似疾患としては寄生虫、小さな綿カビ病「リムフォ」、リンホシスチスなどが有名です。
白点やウーディウム治療でも完治しない場合は上記疾患の可能性が高いです。
治療開始から3日経過しても症状改善しない場合は、治療法を変えましょう。

当サイトでは上記疾患の他にも、病名が分からない疾患に対する効果的な治療法、魚病薬の効果を最大限に発揮する方法など飼育者に役立つ情報を発信しているので、参考に読んでみてください(^^♪

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