淡水魚、海水魚を飼育していると避けては通れないのが病気です。
魚類にはリンパ節が無く、体表保護粘膜と好中球「白血球の1種」が病気感染を防ぐ主な免疫機能を担っているため、病原菌・ウイルスに保護バリアが壊されて一度体内に侵入されてしまうと病気が重症化しやすく、進行も早いです。
気づいた時には深刻化していることが多い為、早期発見と魚病薬の効き目を最大限に活かす環境設定が必要です。
その方法を記載しています。
魚病薬が効きにくい原因「淡水・海水共通」
病気診断を間違い感染源に効果が無い魚病薬を使用していることも考えられますが、効きにくいとされる原因の9割は水換えや濾過槽メンテナンス不足による飼育水の汚染によるものです。
飼育水が汚染されると飼育魚の呼吸苦やストレス、飼育水の酸化から体表ダメージが蓄積され保護粘膜が弱り病気にかかりやすくなったところに、汚染水で増殖した菌やウイルスが侵入してくるため、よりかかりやすく、薬浴効果よりも病原体の進行勢力が上回る為、なかなか治らない、より進行していくことに繋がります。
なので、病気感染を発見した場合、薬を混ぜる前に、まずは水槽内の底砂、濾過槽を徹底的に洗浄しましょう。
底砂は全て回収し水道水で塩素殺菌、濾過槽はフィルターマット交換、ろ材は全て洗浄します。
繁殖している濾過バクテリアが無くなってしまうと嘆く方がいますが、病気感染したということは水中だけでなく濾過槽内も病原体が蔓延し、バクテリアの数を遥かに超える菌やウイルスの巣窟になっているため、ろ過バランスなんて、とっくに崩壊しています。
徹底的に洗浄して魚病薬投与による薬浴をした方が数十倍大切な飼育魚が生存する確率が上がるので、惜しまず洗浄しましょう。
魚病薬の効果を最大限に引き出す方法
薬浴前に上記の洗浄に加え、水量1/2の水換え、出来れば飼育魚を水槽から避難させ、水槽のリセットを行うのが望ましいです。
リセットが出来る場合は水槽内面も全てキレイに掃除すると良いです。
前準備が出来たら、魚病薬を投与し薬浴開始します。
①魚病薬とカルキ除去剤は混ぜないこと!
魚病薬のほとんどはカルキ抜きに使う塩素中和剤を使うと殺菌効果が無くなります。
塩素中和剤はカルキ、重金属などを無害化してくれるので魚体へのダメージを緩和するのがメリットですが、薬効成分を消すため病魚にはデメリットです。
水道水を使う場合は1日置いてカルキが抜けた水を使うと良いです。
もしすぐさま使わなければならない場合は、塩素中和剤を規定量の1/3ほど入れてよく混ぜ合わせて使う様にします。
塩素中和剤はよくアクアセイフが使われますが粘液性が強いので、しっかり混ぜないと病魚の場合、エラに張り付きコーティングされ、窒息の原因になるので、混ぜるのに不安がある方はテトラ・パーフェクトウォーターの使用をオススメします。
中和剤を規定量に沿って使わないことに抵抗があるかもしれませんが、少量でもある程度カルキは抜けます。それより魚病薬が無効になると何の意味もありません。
なので薬浴するために水換えや注水を早急に行わなければならない事態が起きた時は、中和剤の使用は控えめで投与する様にしてください。
②薬浴時は必ず酸素「エアー」を供給させること!
魚病薬は水に溶かすと大量に酸素を消費するので、常に酸素供給を行っていないと酸素欠乏によって病魚が呼吸困難となり☆になってしまいます。
水槽内で酸素が欠乏すると、どんな丈夫な魚でも関係なく息絶えてしまうので、必ず酸素は吹かす様にしてください。
薬浴中に病魚や飼育魚が口を開けたまま☆になっていた場合、ほとんどが呼吸困難によるものですので、酸素欠乏にご注意ください。
ちなみに私はエアーポンプの運転音が嫌いなので、濾過器のシャワーパイプからの水流を水中に落として酸素を発生させるか、運転音がほぼ無音で気にならない水心シリーズを薬浴中は使っています。
運転音がとても静かなのにエアーはパワフルなので使いやすいエアーポンプです。
薬浴中だけでなく、水槽内に放流する前の水合わせにも使えるので1つ持っておくと重宝して役立ちます。
海水魚の場合はエアーストーンを使うと塩ダレがひどいので、バブルストッパーを使うと塩ダレが激減します。
ただデメリットとして吸盤の耐久性が低い為、しばらく使っていると吸盤がよく外れてきます。そして3cm以下の小さい観賞魚だと容器の下から入り込んでエアーの勢いで衰弱したという報告も聞かれるので、あまり小さすぎる魚には使用を控えた方が良いと思います。
③水槽内に直接投与しない+効果が切れたら再投入すること
よく水槽に直接魚病薬を投与して水槽内で溶かし混ぜるという話を聞きますが、これはNGです!魚病薬は必ず魚が入っていない容器で完全に溶かしきってから水槽内に投与する必要があります。
そして各魚病薬には成分の有効期間が必ずあるので、病魚の治療が完了するまでは魚病薬に合わせて追加投与や再投与を行う必要があります。
水換えしたら水量が目減りした分だけ追加投与、効果が切れたら再投与という形です。
魚病薬の有効期間については取扱説明書や各メーカーの公式サイトなどに書いているはずなので、それを参照して用法・用量を守ってお使いください。
④薬浴治療中はライト消灯or暗めでリラックスさせる
薬浴治療中は普段のライト照明だと明るすぎて病魚が落ち着けないため治癒回復が遅くなってしまいます。
ライト消灯or暗めで点灯することで落ち着きリラックスできるので免疫力が向上し病気に対する抵抗力、自己治癒力を高めることができます。
さらにほとんどの魚病薬は紫外線などが当たると効き目成分が弱くなるため、魚病薬の効果を発揮させるのにも役立ちます。
真っ暗だと様子観察が出来ない為、水槽の置いている部屋の照明をつけておいて鑑賞ライトを消しておくと丁度良いかなと思います。
まとめ・注意点
魚病薬は飼育器具、底砂を洗浄し病原菌の温床場所を減らすことと塩素中和剤を混ぜないこと、薬浴中は酸素供給と鑑賞ライトを消灯することで魚病薬の効果を最大限に活かすことが出来ます。
巷では魚病薬の中には効果が無いと言われている商品もありますが、その原因のほとんどは薬浴する環境が整っていないからです。効き目が無いからと規定量以上に入れたり頻繁に追加投与せずに、今回紹介した内容をまずは試してみてください。
この4つの方法を実行すれば、遺伝病や難病などで無ければ、たいがいの病気は回復していくはずなので、ぜひ試して効果を実感してください(^^♪
大切な飼育魚が回復し、元気に泳ぎ回れる様になることを願って、最後の文章とさせていただきます。
最後まで、お読みいただき、ありがとうございましたm(_ _)m