飼育魚を水槽下でも大きく立派に育てあげる方法「淡水・海水魚共通」

海水魚
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水槽で育つ観賞魚はよく「飼育下では自然界ほど大きくならない」と言われていますが、実は水槽内でも自然界に生息する魚の様に迫力ある大きさに育てる有力な方法があります。
この方法は栄養、与える餌の量、ストレスなどではない全く別の条件下で育てます。
広い水槽で育てることも、もちろんそうですが、もっと科学的に根拠をもった方法です。
その方法は自宅水槽で誰でも出来るものなので、この記事で紹介したいと思います。

Kyo
Kyo

野生魚や水族館で泳ぐ魚のように迫力ある個体に育てたい方は必見です!

淡水魚・海水魚共通で使える方法なので、アロワナなど大型魚を本来の大きさまで立派に育てあげたい、自然界の野生魚の様に優雅で長いヒレを伸ばしたいなど願望を持っている人はぜひ最後まで読んでみてね。

そもそもなぜ水槽飼育だと大きく育たないことが多いのかについて

広大な自然環境と違い、限られたスペースで泳ぐからと考えられています。
魚類は生活空間のおおよそを把握すると水槽内で生活を続けられるように水槽サイズに合わせて成長限度を決める様です。

しかし近年の研究から魚類の成長に影響するものは別のものだと判明してきました。

魚の大きさは溶存酸素量と水温で決まる!?

将来、魚の大きさがどんどん小さくなっていくと題材にした論文が米国の環境科学雑誌「Global Change Biology」に掲載されました。
論文を出した研究者によると

「エラの大きさは魚が成長するのと同じ比率で大きくなるわけではない。幼魚から成長し、体重が増えるにつれ、エラは急速に大きくなるが、成長期が終わるとエラの成長速度も鈍化する。」
「魚の大きさが倍になってもエラの大きさは約80%しか大きくならない。一方、身体が大きくなれば、必要とする酸素量も増える。つまり、エラと酸素により、魚の大きさが決ま ってくる。」と意見しています。※1

研究者はこの理論を「gill oxygen-limitation theory(エラ酸素制限理論、GOLT)」と名付けて米国の科学雑誌に公表しています。

つまり魚の成長限度は取り込める酸素量で決まり、酸素を大量に取り込める環境下で育てばエラを大きくできるため体長も大きくなり、取り込める酸素量が少ない環境で育てば、それ相応の大きさまでしか育たないということになります。

さらにこの研究では、生息水温も多いに関係しているとしており、「気候変動による海水温の上昇と海水に溶ける酸素の減少によってマグロ、サケ、サメ、タラに至るまで数百種の魚がこれまで考えられていた以上のペースで小型化している※2」と研究成果を公表しました。

論文の著者の一人で、同大学が日本財団などと共同で進めているネレウス・プログラムのカナダ側の責任者であるウィリアム・チャン氏は「私たちが発見したのは、水温が1℃上昇すると、魚は20%から30%小さくなるということです※3」と話しています。

研究論文内容の簡易まとめ

海水の温度が上昇すると海の生きものの代謝が盛んになる。

そのため、生物は海水中からより多くの酸素を取り込む必要が生じる。
            ↓
しかし、海水に溶ける酸素量は水温が高くなるほど減少する。
            ↓
エラの成長は体が大きくなっていくのと比べて遅いため、体が大きくなるほど酸素を取り込む効率が下がる。
            ↓
したがって、海水温が高くなると、大きく成長するほど酸素不足になってしまうので、これまでと同じペースでは成長できなくなり、本来の大きさまで成長出来ないまま成長期が終わってしまい成魚になっていまうため、体長の小さい魚になってしまう。という風な内容になっています。

この研究論文には当時たいへん反響があって、論文を支持する側と批判側の2つに分かれ、世界中の専門家により討論が繰り広げられました。

Kyo個人としては支持する側です。その根拠としては、支持する側は自身の膨大な研究成果や根拠を元にしっかり述べて同意しているのに対し、批判側は否定する根拠を的確に提示していないなと感じたためです。実際賛同する側の方が多い為、この理論は結構信憑性が高いんじゃないかなと思っています。
上記の理由から、私個人としてはGOLTを支持しています。

Kyo
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しかし信憑性が高いものの100%正しいと断定はしていないため、論文の筆頭著者であるダニエル・ポーリー氏とウィリアム・チャン氏には、この先もさらなる理論の証明に向けて頑張ってほしいなと思っています。

支持意見と批判意見の詳細「不要な方は読み飛ばしてください」

「カナダ、サイモン・フレーザー大学の海洋生物学者であるニック・ダルビー氏は、自らの研究がポーリー氏の理論と一致する傾向にあるとしており、「魚が重くなれば、やがて酸素の摂取量が代謝に見合わなくなることは絶対に避けられない」と述べています。※4」

「ドイツ、ブレーメン大学とアルフレッド・ウェゲナー極地海洋研究所の海洋動物生理学者であるハンス=オットー・ポートナー氏は、この研究からは、魚が海の変化にどの程度順応できるかが示されていないと根拠に欠けている部分を指摘しつつも、魚の成長や水温の変化に対する敏感さが酸素と関係しているという点は「納得がいく議論」だと話したそうです。※5」

批判的な意見としては、2017年公表時にポーリー氏に反論したノルウェー、オスロ大学の生理学者シャニー・ルフェーブル氏がこの研究には、いくつか欠陥部分があるとしたうえで魚自身にエラの成長を止める能力は無く、「体と同じ速度でエラが成長するのを妨げる『幾何形態的な制約』がある。」と批判しているそうです。

飼育下で溶存酸素を豊富に増やすために出来ること

では飼育水槽下で、どうすれば溶存酸素量を増やせるかについて、どの自宅でも出来ることを記載します。淡水・海水で溶ける酸素量が違う為、各別にして紹介しています。

海水魚水槽の溶存酸素量を増やす場合

海水は比重やミネラル成分など色んなものが溶け込んでいることにより酸素が溶け込みにくく、市販のエアーポンプやエアーストーンなどでは、たいして溶存酸素を増やすことが出来ません。

そのため、まずは水温を24度前後と低めにして少しでも溶存酸素が増える様にしてあげましょう。ほぼ全ての海水魚はこれぐらいの水温で問題ないですが、水深が深い場所に棲む魚や一部種類によってはヒーター不要の場合もあるので、その場合は飼育する魚に合わせてあげてください。

水温調整が出来たら、次に水流を発生させましょう。
海では酸素量は海面付近で最も多くなります。
これは大気と海面との間で酸素の交換が行われ、その海水に溶けることができる上限の量(溶解度)付近まで酸素が溶けるためです。
自然海ではランダムな波が絶えず起きることによって大気を海水に取り込んでいます。
なので自然の波が起きない飼育水槽に水流ポンプを使うことによって人為的に海の様な
うねる波を起こして飼育水中に酸素を溶け込ませます。

ただの波ではなく、うねるような太い波を起こす必要があるため、上記の様なDCポンプを使います。
DCポンプであれば上記に限らず、自分の好みのものを選ぶと良いです。
コラリアやNEWAなどACポンプは上記の様な波を起こせないので、溶存酸素を増やす目的で選ぶならDCポンプから選んでください。

Kyo
Kyo

ACポンプとDCポンプの分かりやすい違いは水流量の調整ができるかどうかです。流量調整や間欠運転で変則的な波を作れるのがDCポンプです。

2つ目:予算をかけられるのであれば、ファインバブルを使うのが一番オススメです!

ファインバブルを使うのであれば、水中に設置するものではなく、ミラブルの様な水換えや注水で使えるものが断然オススメです!

なぜなら認証登録マークが付いた正式なファインバブルで水中に常置するものは高価過ぎて手が出ないからです。「金額が気になる方はネットで検索してみてください。」

※1つ大きな注意点としてファインバブルは偽物も多く出回っています。
上記の様に正規代理店からファインバブルとして正式に認証登録マークが付いたものを購入する様にしましょう!

Kyo
Kyo

ウルトラファインバブル「UFB」は目に見えないほど小さな泡であるため水面に浮上しにくく水中に溶け込んだまま数週間~数か月維持することが出来ます。
飼育魚の数にもよりますが、水換えをする際にUFBで注水すると半永久的に豊富な溶存酸素を維持できるため、コスパ的にとてもオススメです。

海水中の酸素量は、飼育魚の呼吸やバクテリアが有機物を分解「濾過」する時など生物活動の影響を受けて消費するため、海水魚の混泳をする時は常に大量に補充できる環境が必要だよ。

淡水魚水槽の溶存酸素量を増やす場合

淡水水槽の場合は海水よりも水に酸素が溶けこみやすいので、水温25度前後でエアレーションなどをかけると良いと思います。
アロワナやシクリッド「エンゼルやディスカス」などを大きく育てたい場合は、元々高水温下での飼育になりやすいので、幼魚の時は水温30度手前、若魚からは水温28度前後で飼育するのがオススメです。

エアレーションとしては気泡が細かくなるほど溶存酸素量は増えるので、出来る限り気泡が細かいもので大量に吐出されるものほど良いです。

参考までに記載すると、販売ショップや観賞魚飼育に長けている人は、上記の様なものをよく使用しています。

水心シリーズは30cm水槽~120cm水槽までサイズに応じたものが販売されています。
水槽サイズよりもずっと大きいものを使うと乱気流の様な水流が発生してしまう為、適合サイズに応じた物を使うか大きくても1ランク上くらいのものにしておくことをオススメします。

もちろん海水魚と同じようにウルトラファインバブルを使うのも非常にオススメです。
しかし海水ほど酸素は溶け込みにくくないため、過密飼育を行わない限りは市販のエアレーションで必要十分だと個人的には思っています。

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記事の補足・追記

・水温が高くなると溶存酸素量が減る理由としては水中に棲む生きもの「水中微生物含む」の代謝が高まり、より多くの溶存酸素を必要とするようになるため。
なので水温が低ければ溶存酸素量は増え、高ければ減ります。

・海水と淡水で溶け込める酸素量が大きく違う理由は比重とミネラルなどの成分が影響しているためと記事内で書いていますが、さらに言えばアルカリ性ということも影響しています。一般的に泥田のような酸性の水では溶存酸素量は増え、海水のようなアルカリ性の場合は減る傾向にあります。 水温とpHの関係で当てはめてみると、高緯度で低温の湿原地帯などで溶存酸素量は多く、同じ海でも海水温が上昇しやすい浅瀬の珊瑚礁ほど溶存酸素量が少なくなっていることが分かっています。

最後に

酸素量が少なくなれば、エラが取り入れる酸素量も少なくなり、その結果、魚は大きく育つことができなくなる可能性が高いのならば、飼育水槽内の溶存酸素を常に豊富にさせておけばいいのです。

そうすれば魚の成長を助けることに加え、飼育水が曝気され水中の見えない汚れや不純物が濾過にかかりやすくなり水はよりキレイで水質も安定しやすくなります。
おまけに寄生虫も発生しにくくなり、病気にもかかりにくくなります。
巷ではエアレーションし過ぎると溶存酸素過飽和となり飼育魚がガス病になりやすくなると言われることもありますが、エアレーションをいくらかけてもガス病にはなりません。魚のガス病は藻類や植物プランクトンの大量発生によって起こるものだからです。
つまり、メリットは実に多くありますが、デメリットに働くことは私が思いつく限りですが無いのです。

なので魚を大きく迫力ある姿に育てたい方、難易度の高い魚を長生きさせたい方は、ぜひ飼育水槽の溶存酸素量を増やして、立派に育ててあげましょう(^^♪!

参考文献

※1・2・3 引用論文:Daniel Pauly, William W. L. Cheung, “Sound physiological knowledge and principles in modeling shrinking of fishes under climate change.” Global Change Biology, DOI: 10.1111/gcb.13831, 21, August, 2017

※4・5 ナショナル ジオグラフィック ニュース 2017.8/24

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