漫画「恋は雨上がりのように」で話題になった作者「眉月じゅん」の新連載作品。
近未来の文明だが昭和のレトロな街並みで暮らす人たちの物語。
このマンガがすごい2021で3位入賞。
この作品も、とても面白いので紹介します。
舞台は香港、実際にあった九龍
国は香港だが、ストーリーの軸は1990年代に取り壊された実際にあったスラム街「九龍城砦」をモデルにした街である九龍「クーロン」。
主人公はそこで暮らし働いている女性「鯨井令子」。
同じ職場の上司「工藤」に恋をしており、仲は良いものの自身の想いを伝えられずにいます。
誰もが帰りたくなる懐かしさの表現が上手い!
誰もが子供の頃や青春時代の記憶、流行った物や育った街並みなど昔の思い出に懐かしさを感じるし、誰しも一度は楽しかったあの頃に戻りたくなったことがあると思います。
それを描写とキャラのセリフで読み手に思い出させるのが上手い!
古き良き時代=誰もが懐かしさに恋をしているというセリフは、思わず成程と納得させられましたw
主人公は記憶喪失or別人?謎めいたミステリー
主人公の鯨井さんは直近1年ぐらいの記憶しか無く、今の記憶はあるものの、幼い頃の記憶も青春時代の記憶も全くありません。
生活が充実していたので、それを気にもしていなかったのですが、ストーリーが進むうちに恋をしている男性が好きなのは、なんと容姿も名前も自分と全く同じである女性であったことを知ってしまいます。「=鯨井Bとする」
工藤が見ているのは自分ではなく、鯨井Bであることに傷つきながらも、自分は自分であることに自信を持ち、自分という一人の女性を好きになってもらうため、奮闘する姿に応援したくなるところが魅力です。
切ない恋心と真実の行き末を見届けたくなる魅力
上記で記載した通り、自分とは違う別の自分をずっと想い続けている上司。
上司が話した言葉の深みも一緒にランチした場所も、九龍を歩き回った二人きりの幸せな時間も、実は全部が鯨井Bと巡った思い出の場所で、いつも二人で行く場所も道も鯨井に鯨井Bだった頃の記憶を思い出させるためのような描写がストーリーの中に散りばめられています。
果たしてこの恋は鯨井として成就するのか、かつての恋人だった鯨井Bとして成就するのか、行き末を見届けたくなる作品です(^^♪