白点病や尾ぐされ病と並ぶ観賞魚の有名な病気で体表やヒレにふわふわ、もこもこしたカビの様なものが付着することが症状と特徴です。
淡水魚、海水魚ともに起こる病気で、治療も難しくなく、適切に治療処置すれば容易に治ります。
アイキャッチ画像引用元:日本動物薬品株式会社 http://www.jpd-nd.com/n_jpd/shinryo/shinryo.html
水カビ・綿カビ病の原因
主な原因は水質悪化によるものですが、スレ傷や火傷、混泳魚とのケンカなどの傷・ケガからも発生します。病原は真菌の感染です。
よく見かける代表例としては、通販で購入した魚、ヒーターによる火傷・ただれ、レイアウト物で体表を擦ったり、衝突する、混泳魚とのケンカ、突かれたり追い回されるなどがあります。
水カビ、綿カビの症状について
健康で体力のある魚であればヒレや体表に付着していても初期の段階であれば自然治癒することが多いです。
しかし水質悪化から発生したものであれば、感染魚の自己回復力は低下しカビが大きくなっていくケースが多い為、治療を行う方が良いです。
新しく飼育し始めた個体に付着がみられた時も疲労と免疫力の低下から進行していきやすいので、薬浴トリートメントしてあげることをオススメします。
ウーディニウムや腹水症の様に急を要するものではありませんが、カビがエラに発生した場合は窒息するため、発生部位によっては早急に治療が必要なことがあります。
水カビ病、綿カビ病の予防について
購入した魚は病気の兆候がみられなくても疲弊やストレスから病気を発病しやすくなっているので、まずはトリートメント水槽で薬浴してあげましょう。
特に通販で購入した魚は輸送中の振動、水質悪化、疲労で、とても病気になりやすくなっています。例え丈夫な魚であっても最低1週間はトリートメントしてあげましょう。
ヒーターの火傷について
魚類は生涯を水中で過ごすため、熱いという温度感覚が鈍いです。
なので、お使いのヒーターがむき出しになっている場合は、ヒーターメイクという専用のカバーを付けて火傷を防ぎましょう。これからヒーターを購入する予定の方は、初めからヒーターカバー付きのものを買う方が金銭的にもお得です。
セパレート「隔離」について
次に水槽内に混泳魚がいる場合は必ずセパレーターを持っておきましょう。
メダカやテトラなど群れを作る魚でも相性が悪かったり、体の大きさに違いがあるとケンカしたり、追いかけ回されたりしやすいです。
縄張り争いの強い魚にはセパレーターが必須です!
淡水魚で言えば古代魚やシクリッド類、スマトラなどにケンカが多く、特に混泳数が少なかったり、大きさに差が出ると争いの頻度が激増します。
今はケンカが起きていなくても成長差が出ると急変するため保険用として1つは持っておくことをオススメします。
※繁殖しやすいグッピーやベタ、メダカの稚魚は1cm未満だとヒーターカバーをつけていても開いている穴から簡単に出入りできるためヒーターに焼かれやすいです!
なので、ヒーター自体を隔離するためにセパレーターを使うという方法もあります。
セパレーターはメーカーやスペックにより差があるため、自宅の水槽環境に合ったものを選んでくださいね。
水槽内レイアウトについて
水槽内にレイアウトが多い場合は遊泳スペースが十分確保出来ること、遊泳中にレイアウト物の周りで引っかかったり、擦れたりしないかは確認して配置するようにしてあげてください。
水カビ・綿カビ病の治療法
塩治療や水温上昇で治療されることが多いですが、たいして治療効果は高くない様に感じるので、魚病薬を使用して治療する方が遥かに治癒します。
魚病薬としてはメチレンブルー系、マラカイトグリーン液で治療するのが一般的で治癒効果が高いです。
水カビだけであればマラカイトグリーン液が良いですが、他にスレ傷や寄生虫、皮膚の赤みなどがあればエロモナスやビブリオによる二次感染を起こすため、グリーンFゴールド顆粒「GFG」の総合治療がオススメです。
GFGは太陽の光が当たると効果が無くなる為、遮光して使用する必要があります。
特にメダカの病気治療の場合、日光を遮断するとGFGの効き目が優秀でも衰弱していくことが多い為、注意してください。
上記の理由からメダカの水カビ・綿カビ治療にはアグテンやヒコサンなどマラカイトグリーン系の魚病薬が個人的にはオススメです。
水カビ、綿カビがエラに付着している場合、重症時の治療
エラの外皮であれば付着しているカビを人為的に即取り除いてあげましょう。
ピンセットで取るのもOKですが、魚は暴れることが多いので、ゴム手袋などを装着して指先で優しくなでるように取ってあげる方が安全です。
エラ内部にまで侵入している場合は常に呼吸苦、浸透圧の調整も鈍り、重症化していると生存するために何とか体力を使っているぎりぎりの状態なので、いきなり規定量投与すると簡単に☆になります。
重症魚では規定量の1/6ぐらいから少しずつ投与していく様に慎重に薬浴していきます。
規定量1/6薬浴で1時間程度注意深く観察し病魚の状態が急変しなければ、さらに1/6を加え様子見します。重症度によりますが、だいたい初日は規定量の半分を限度に薬浴開始させると良いと思います。
※薬品に弱い古代魚やナマズ、プレコ類には上記量をさらに半分にして試してください。
薬浴時は溶存酸素を大量に消費します。酸素不足にならない様にエアレーションしておくことをオススメします。
餌も食べれないほど衰弱している病魚など、病状が重い魚の薬浴は上記でも厳しい場合がある為、薄っすら色づく程度から少しずつ量を増やしていくと良いです。
病気治療の正しい薬浴方法については「魚病薬の効果を最大限にする、飼育魚の負担を最小限にする方法について」を参照してください。
メダカやベタなど水流に弱い魚の治療にも対応しています。
水カビ・綿カビ病の再発予防について
水カビ、綿カビ症状はマニュアル通りの治療と市販薬で誰でも治せる症状ですが、飼育水槽の水質が環境が悪いままだと再発を繰り返してしまいます。
治療後は水換えや水槽のリセット、濾過槽メンテナンスをしっかり行い、キレイな水質を維持することが一番の予防になります。
混泳魚がいる水槽では日頃から争いや追われたりしていないか観察し、突かれる様であれば、すぐに隔離し病気感染を防ぐようにしましょう。